傷だらけの令嬢〜逃げ出したら優しい人に助けられ、騎士様に守られています〜
21
外の空気を吸う。
はぁ。ここは私には場違いな場所。
私は通りをゆっくりと歩き出す。
平穏な日々を過ごすうちに、段々と警戒心も薄れていた。
「見つけたわ」
『!』
ドクンと心臓が跳ね上がると同時にゾワゾワと全身に鳥肌が立った。
まさかと思いつつ声のした方を向くと義姉が侍女を伴いこちらへと近づいて来た。
私は脱兎の如く通りを走ったがすぐに
侍女から後ろ手を掴まれて、その拍子にバランスを崩して転倒した。
義姉も追いついて来た。
「お嬢様、どうされますか?」
「ここは目立つわ。とりあえず連れて来て」
義姉は私を自分の馬車へと連れて行くつもりのようだ。
無理矢理連れて行かれそうになり、死にものぐるいで暴れながら声を上げる
『放して下さい!
やめてください!』
「誰があなたに口を聞いていいと許可したの?邪魔なその口が聞けないようにしないとね」
義姉は侍女に何か指示をしていた。
侍女は布を私の口に巻こうとしていた。
私は恐怖で固まる。
義姉はニタリと笑みを浮かべて楽しそうに見物している
「何をしている!」
『グレッグ様』
もう一貫の終わりだと諦めかけていた時、グレッグ様が勢いよく侍女の手を振り払い私を自身の背後へと庇い立った
「ソフィア大丈夫か?」
私は黙って頷く。
「あなたソフィアとはどういう関係ですの? 」
「あなたこそ何故にソフィアに暴力を」
グレッグ様は義姉に詰め寄る
「うふふ。いやですわ。ちょっとした身内の揉め事ですわ。これは義妹ですの。関係のない方はお引き取りを」
『っ!』
「義妹?」
ついに知られてしまった…私が…こんな人の義妹だと。グレッグ様には知られたくなかったのに。
「とても義妹に対する態度には見えないが。正式な手続きは後で行う。アンジェリカ嬢、本舎まで大人しく同行してもらおう」
「なんですって。あなたごときがこの私に指図することができるとでも思ってるの!」
「抵抗する場合は強硬手段に出ることになるが」
グレッグ様は腰の剣に手を当てた。
「アン!なんとかしなさい」
侍女は先程までとは打って変わりすぐさま土下座をした。
「騎士様。お嬢様は体調が優れないのです。どうかどうか、本日のことはお見逃しくださいませ」
そう言って、義姉を引っ張りものすごい勢いで走り去った。
グレッグ様は追いかけてはいかなかった。
私の側に来て、手を差し伸べる。
私はその手を取り立ち上がると、そのままグレッグ様の胸へと寄りかかってしまった。
『す、すみません』
慌てて離れようとしたら、グレッグ様はそっと私を抱きしめてくれた。
優しく背中をさすりながら何度も、遅くなってすまない と言ってくれた。
私は黙って首を振り、優しさが嬉しくて、思わず涙がでた。
しばらく背中をさすってくれて、涙も収まると私はグレッグ様からそっと離れる。
グレッグ様は何か言いたそうだったけど、何も問われなかった。
そして一言
「そろそろ戻ろう」
と。 私達は黙って三日月亭へと戻った。
はぁ。ここは私には場違いな場所。
私は通りをゆっくりと歩き出す。
平穏な日々を過ごすうちに、段々と警戒心も薄れていた。
「見つけたわ」
『!』
ドクンと心臓が跳ね上がると同時にゾワゾワと全身に鳥肌が立った。
まさかと思いつつ声のした方を向くと義姉が侍女を伴いこちらへと近づいて来た。
私は脱兎の如く通りを走ったがすぐに
侍女から後ろ手を掴まれて、その拍子にバランスを崩して転倒した。
義姉も追いついて来た。
「お嬢様、どうされますか?」
「ここは目立つわ。とりあえず連れて来て」
義姉は私を自分の馬車へと連れて行くつもりのようだ。
無理矢理連れて行かれそうになり、死にものぐるいで暴れながら声を上げる
『放して下さい!
やめてください!』
「誰があなたに口を聞いていいと許可したの?邪魔なその口が聞けないようにしないとね」
義姉は侍女に何か指示をしていた。
侍女は布を私の口に巻こうとしていた。
私は恐怖で固まる。
義姉はニタリと笑みを浮かべて楽しそうに見物している
「何をしている!」
『グレッグ様』
もう一貫の終わりだと諦めかけていた時、グレッグ様が勢いよく侍女の手を振り払い私を自身の背後へと庇い立った
「ソフィア大丈夫か?」
私は黙って頷く。
「あなたソフィアとはどういう関係ですの? 」
「あなたこそ何故にソフィアに暴力を」
グレッグ様は義姉に詰め寄る
「うふふ。いやですわ。ちょっとした身内の揉め事ですわ。これは義妹ですの。関係のない方はお引き取りを」
『っ!』
「義妹?」
ついに知られてしまった…私が…こんな人の義妹だと。グレッグ様には知られたくなかったのに。
「とても義妹に対する態度には見えないが。正式な手続きは後で行う。アンジェリカ嬢、本舎まで大人しく同行してもらおう」
「なんですって。あなたごときがこの私に指図することができるとでも思ってるの!」
「抵抗する場合は強硬手段に出ることになるが」
グレッグ様は腰の剣に手を当てた。
「アン!なんとかしなさい」
侍女は先程までとは打って変わりすぐさま土下座をした。
「騎士様。お嬢様は体調が優れないのです。どうかどうか、本日のことはお見逃しくださいませ」
そう言って、義姉を引っ張りものすごい勢いで走り去った。
グレッグ様は追いかけてはいかなかった。
私の側に来て、手を差し伸べる。
私はその手を取り立ち上がると、そのままグレッグ様の胸へと寄りかかってしまった。
『す、すみません』
慌てて離れようとしたら、グレッグ様はそっと私を抱きしめてくれた。
優しく背中をさすりながら何度も、遅くなってすまない と言ってくれた。
私は黙って首を振り、優しさが嬉しくて、思わず涙がでた。
しばらく背中をさすってくれて、涙も収まると私はグレッグ様からそっと離れる。
グレッグ様は何か言いたそうだったけど、何も問われなかった。
そして一言
「そろそろ戻ろう」
と。 私達は黙って三日月亭へと戻った。