傷だらけの令嬢〜逃げ出したら優しい人に助けられ、騎士様に守られています〜
30真実⑤
アンジェリカの合図を受け、アンさんは
外へと出ていった。
入れ替わるように三人の男達がはいってく
る。
ニタニタと下卑た笑いを浮かべる男達を見て、心に警鐘が鳴る。
口を開いて相手を刺激してはいけないと思い、ようすを窺う。
その間も必死に縄が解けないかと格闘していた。
ロープがこすれて皮膚が痛い。
寝転がる私を舐め回すように男達の不躾な視線を感じる。
来ないで!
「これは、また随分な上玉じゃないか」
「あぁ、楽しめそうだな」
「商品として売るなら…手は出さない方がいいか…いや、一人くらいは楽しませてもらうか、なぁ」
「あぁ、ただ働きはわりにあわねえ」
「ちょっと!あなた達、この女は好きにし
ていいけど、さっさと代金を払いなさい!
急いでるのよ!」
アンジェエリカは男達に詰め寄る。
「まぁ、そんなに急ぐことはないぜおじょうさんよ」
「あぁ、まだ夜は長い」
「俺たちの相手をしてからでも遅くはないだろう、なぁ?」
「下品な手で触らないで!私を誰だと思ってるの!売れそうな女を連れて来たら代金を払うって約束したじゃない」
「はぁ、そんな約束知らねえな。お前知ってるか?」
「いいや、知らないな。それよりよ、お嬢さんよ、こいつをここまで連れてきたのは俺たちなんだぜ? その労力の代金を支払ってもらわねぇと困るよ、なぁそうだろ」
「はぁ!平民の分際で!」
「なるほど、落ちぶれた貴族か、ぐはは、貴族落ちは遊んだ後でも高く売れる、押さえろ!」
「ちょ!ぎゃー離しなさい!アンアン!」
アンジェリカは必死にアンの名前を口にする。
けれどアンの姿は現れなかった。
男達はアンジェリカを二人がかりで取り囲み床へと押し倒す。
「ぎゃあーやめて!」
「喚くな!うるせぇ!」
バンと鈍い音が室内に響く。
男がアンジェリカの頬を叩いたのだ。
暴れ狂っていたアンジェリカの動きが、ぴたりと止まる。
今まで暴力をふるうことはあっても、ふるわれたことはないから、ショックにより放心状態となっていた。
……アンジェリカ!だめ!
すぐ目の前なのに、
私はどうすることもできないでいた
「腕を押さえろ」
「あぁ、終わったら俺にもやらせてくれよ」
大人しくなったアンジェリカの上に男が覆い被さる
「おっと、お嬢さんの相手は俺だよ。余所見してもらったら困るなぁ」
残りの一人の男が目の前に迫っていた。
「やめてください!こんなことして、何とも思わないのですか!」
「ははは!いいねその表情。俺が楽しいことを教えてやるよ。ゆっくりとな」
「いや!」
横向きに転がっていた身体を仰向けにされる。
後ろ手で縛られているので、体勢もきつい。
横からビリビリと布の破ける音がする。
男達がアンジェリカの衣服を脱がすのがもどかしくなり、破っているようだ。
「あぁ、ほんとにかわいいなぁ」
こわい…いや!いや!
縄がほどけないかと、腕がちぎれそうになるくらい必死に手を引き抜こうとする。
ジリジリと男が近づいてくる。
「あぁ、ほんとにかわいいなぁ」
いや!やめて!こないで!グレッグ様たすけて!
あまりの恐怖から声も出せないでいた。
男がまたがってくる。
現実を受け入れることができず、固く目を閉ざし顔を逸らす
心臓が飛び出しそうなくらい早鐘を打っていた
やめて!
無駄な抵抗とは分かっていても、体を必死に動かす。
その動きが、かえって男を興奮させる
男がスカートの裾をたくし上げようと手が伸びてきた時、ふっと跨る男の重みが消えた。
「ぐわぁ」
「なんだ!」
ドスドスと人の倒れるような音がした。
「ソフィア!」
固く閉ざした瞼を持ちあげると、そこには信じられないことにグレッグ様がいた。
殴り飛ばしたのか蹴り飛ばしたのか、壁際に積み重なるように男達を放置していた。
「…グレッグ様…どうして…」
グレッグはソフィアのロープを解き、ゆっくりと上体を起こして、抱きすくめた。
「あぁ、ソフィアすまない、危ない目にあわせてすまない、ソフィア…」
「グレッグ様、こわ…かった…」
「あぁ、もう大丈夫だソフィア」
強く抱きしめられて、安心したのと同時に涙が溢れてくる。
グレッグ様にしがみついて、声を押し殺すように泣いていた。
しばらくすると複数の足音が聞こえた。
「ちょっと、グレッグ先輩早すぎっす」
「あぁ、キースか、後は頼む。さっさとそのゴミ共を処理してくれ。
「ゴミって、それ聞かれたらまずいですからね、問題発言ですからね、世間の目は厳しいんですからね」
「死体になっていないだけましだろ」
「ちょっ、こわっ、先輩まじ笑えないっす。了解です。こいつらは俺たちで連行しときます。
そちらの被害者のお嬢さんも丁重に連れていきます」
「あぁ、頼む、その女性は手配中のアンジェリカ嬢だ。」
こちらの女性のことは…視界に入れるな!
ちょっとでも何か言ったら命はないと思え!」
「は?ちょっ、先輩意味分からないですよ」
「おい、やめとけキース!さっさと行くぞ」
ざわざわと複数人の声がしたのは数分のことだった。
その間ずっとグレッグ様の胸に顔を埋めていたので、何があったのかは分からなかった。
グレッグ様の会話のやり取りから、騎士のかた達が助けに来てくれたのだと思った。
いつのまにか小屋の中にはグレッグ様と二人きりになっていた。
外へと出ていった。
入れ替わるように三人の男達がはいってく
る。
ニタニタと下卑た笑いを浮かべる男達を見て、心に警鐘が鳴る。
口を開いて相手を刺激してはいけないと思い、ようすを窺う。
その間も必死に縄が解けないかと格闘していた。
ロープがこすれて皮膚が痛い。
寝転がる私を舐め回すように男達の不躾な視線を感じる。
来ないで!
「これは、また随分な上玉じゃないか」
「あぁ、楽しめそうだな」
「商品として売るなら…手は出さない方がいいか…いや、一人くらいは楽しませてもらうか、なぁ」
「あぁ、ただ働きはわりにあわねえ」
「ちょっと!あなた達、この女は好きにし
ていいけど、さっさと代金を払いなさい!
急いでるのよ!」
アンジェエリカは男達に詰め寄る。
「まぁ、そんなに急ぐことはないぜおじょうさんよ」
「あぁ、まだ夜は長い」
「俺たちの相手をしてからでも遅くはないだろう、なぁ?」
「下品な手で触らないで!私を誰だと思ってるの!売れそうな女を連れて来たら代金を払うって約束したじゃない」
「はぁ、そんな約束知らねえな。お前知ってるか?」
「いいや、知らないな。それよりよ、お嬢さんよ、こいつをここまで連れてきたのは俺たちなんだぜ? その労力の代金を支払ってもらわねぇと困るよ、なぁそうだろ」
「はぁ!平民の分際で!」
「なるほど、落ちぶれた貴族か、ぐはは、貴族落ちは遊んだ後でも高く売れる、押さえろ!」
「ちょ!ぎゃー離しなさい!アンアン!」
アンジェリカは必死にアンの名前を口にする。
けれどアンの姿は現れなかった。
男達はアンジェリカを二人がかりで取り囲み床へと押し倒す。
「ぎゃあーやめて!」
「喚くな!うるせぇ!」
バンと鈍い音が室内に響く。
男がアンジェリカの頬を叩いたのだ。
暴れ狂っていたアンジェリカの動きが、ぴたりと止まる。
今まで暴力をふるうことはあっても、ふるわれたことはないから、ショックにより放心状態となっていた。
……アンジェリカ!だめ!
すぐ目の前なのに、
私はどうすることもできないでいた
「腕を押さえろ」
「あぁ、終わったら俺にもやらせてくれよ」
大人しくなったアンジェリカの上に男が覆い被さる
「おっと、お嬢さんの相手は俺だよ。余所見してもらったら困るなぁ」
残りの一人の男が目の前に迫っていた。
「やめてください!こんなことして、何とも思わないのですか!」
「ははは!いいねその表情。俺が楽しいことを教えてやるよ。ゆっくりとな」
「いや!」
横向きに転がっていた身体を仰向けにされる。
後ろ手で縛られているので、体勢もきつい。
横からビリビリと布の破ける音がする。
男達がアンジェリカの衣服を脱がすのがもどかしくなり、破っているようだ。
「あぁ、ほんとにかわいいなぁ」
こわい…いや!いや!
縄がほどけないかと、腕がちぎれそうになるくらい必死に手を引き抜こうとする。
ジリジリと男が近づいてくる。
「あぁ、ほんとにかわいいなぁ」
いや!やめて!こないで!グレッグ様たすけて!
あまりの恐怖から声も出せないでいた。
男がまたがってくる。
現実を受け入れることができず、固く目を閉ざし顔を逸らす
心臓が飛び出しそうなくらい早鐘を打っていた
やめて!
無駄な抵抗とは分かっていても、体を必死に動かす。
その動きが、かえって男を興奮させる
男がスカートの裾をたくし上げようと手が伸びてきた時、ふっと跨る男の重みが消えた。
「ぐわぁ」
「なんだ!」
ドスドスと人の倒れるような音がした。
「ソフィア!」
固く閉ざした瞼を持ちあげると、そこには信じられないことにグレッグ様がいた。
殴り飛ばしたのか蹴り飛ばしたのか、壁際に積み重なるように男達を放置していた。
「…グレッグ様…どうして…」
グレッグはソフィアのロープを解き、ゆっくりと上体を起こして、抱きすくめた。
「あぁ、ソフィアすまない、危ない目にあわせてすまない、ソフィア…」
「グレッグ様、こわ…かった…」
「あぁ、もう大丈夫だソフィア」
強く抱きしめられて、安心したのと同時に涙が溢れてくる。
グレッグ様にしがみついて、声を押し殺すように泣いていた。
しばらくすると複数の足音が聞こえた。
「ちょっと、グレッグ先輩早すぎっす」
「あぁ、キースか、後は頼む。さっさとそのゴミ共を処理してくれ。
「ゴミって、それ聞かれたらまずいですからね、問題発言ですからね、世間の目は厳しいんですからね」
「死体になっていないだけましだろ」
「ちょっ、こわっ、先輩まじ笑えないっす。了解です。こいつらは俺たちで連行しときます。
そちらの被害者のお嬢さんも丁重に連れていきます」
「あぁ、頼む、その女性は手配中のアンジェリカ嬢だ。」
こちらの女性のことは…視界に入れるな!
ちょっとでも何か言ったら命はないと思え!」
「は?ちょっ、先輩意味分からないですよ」
「おい、やめとけキース!さっさと行くぞ」
ざわざわと複数人の声がしたのは数分のことだった。
その間ずっとグレッグ様の胸に顔を埋めていたので、何があったのかは分からなかった。
グレッグ様の会話のやり取りから、騎士のかた達が助けに来てくれたのだと思った。
いつのまにか小屋の中にはグレッグ様と二人きりになっていた。