傷だらけの令嬢〜逃げ出したら優しい人に助けられ、騎士様に守られています〜
31
どのくらいグレッグ様にしがみついていた
のだろう。ひとしきり涙が出てしまうと、
冷静になってくる。
ヒリヒリと手首に痛みが襲ってくる。
腫れぼったくなった瞼を持ち上げて、手首
に目をやると、皮膚が少しえぐれている。
先程、縄を解こうとした時に擦れた部分だ。
今頃になって、グレッグ様の服を涙と血で
汚してしまったと気づく。
「グレッグさま、すみません…」
慌てて離れるソフィアの様子をグレッグは
怪訝に思う。
ソフィアの温もりの残る自身の胸の辺りを
観察してすぐに察する。
「ソフィア、手を見せて。
ソフィアの姿を見て我を忘れて抱きしめ
てしまった。
怪我の確認が遅れてすまない」
「こ、これくらい、大丈夫です。平気です、なんともありません…」
鞭で打たれていたこともあるので、自分に
とってはこれくらいかすり傷だ。
「私が大丈夫じゃないんだ。さぁ見せて。
痛みに慣れてはいけない。
ソフィア、私の前では平気なふりをしな
くてもいいんだ。
少し沁みるかもしれない。」
「あ、あの、これ以上ご迷惑をおかけするわけには…」
「迷惑などかかっていない、いや、むしろ助けられている」
「え?」
「私達は怪我など日常茶飯事だ。
簡単な応急処置を迅速にできなければなら
ない。
なにごとも上達するには練習あってのも
の…
こうやってソフィアに包帯を巻くことも、
く、訓練の一貫だ、いや、むしろ騎士とし
ての義務だ。」
「ふふ…」
グレッグ様の優しさが感じられて、思わずはにかむ。泣き笑いのようなおかしな状態になっていた。
グレッグはポケットから包帯と軟膏を取り出すと、ソフィアの傷口に軟膏をゆっくりと塗っていく。
有事の際に備えて携帯していて良かったと
グレッグは改めて思う。
「…グレッグ様、どうして分かったので
すか?」
「あぁ、それは、アンジェリカ嬢の侍女と
名乗る者が本舎に駆け込んできたのだ。
お嬢様を助けてほしいと。
他の者は半身半疑だったが、ソフィアの
名が出たので、自分の目で確かめなければ
と飛び出した。
ソフィアの名が出た時点で、行かないとい
う選択肢はない!」
きっぱりと言い放つグレッグ様の言葉に、
嬉しくてトクンと胸が高鳴る。
アンさんが助けを呼びに行ってくれたんだ
アンジェリカのためだったとは言え、私の
ことも伝えてくれて結果的に助けられた。
「…ありがとうございました」
泣き腫らしてひどい顔だったので、グレッ
グ様を見ることができない
綺麗に巻かれた包帯を見ながらお礼を言う。
「ソフィア、顔を上げて」
「す、すみません、目を合わさずにお礼
を言うなど失礼なことをして…
でも、私、今、ひどい顔なんです。
だから…」
「…そうか、見られたくないのだな…
女性心に疎くてすまない。顔を見れない
のは寂しいが…ならば…」
グレッグはソフィアの手を取るとそっと口
付けを落とす。
「あ、あの!グ、グレッグ様!」
あわあわと困惑する私を気にするでもなくグレッグ様は続ける。
ちゅ、ちゅ、ちゅ、とゆっくりとグレッグは
ソフィアの手に口づけを落とす。
「ソフィア、消毒が必要なんだ。」
「あ、あの、しょ、消毒ですか?」
「あぁ、私に任せてくれ」
「んんっ」
思わず変な声がでる。
あぁ、かわいい
グレッグは包帯の部分を避けて、優しく
腕へと進んで行く
ソフィアは反対の手で痣を隠そうとした
「ごめんなさい…グレッグ様…私…その…身体中に痣が残っていて…」
「ソフィア、全部見せて、ソフィアの
過去も今も私が消毒するから」
痣を隠しているソフィアの反対の手をグレ
ッグはそっと持ち上げる。
先程と同じく口づけを落とした後、今度は
軽く喰んでいく。
ソフィアの指、手のひら、手首、腕へと。
ソフィアは何をされているのか分からずに
されるがままだった。
あぁ、かわいい
グレッグは自分の中に宿る欲望の塊と闘っ
ていた。
自分はどうしてしまったのか
自分で言うのもなんだが、紳士的だと思
う。
どちらかというと女嫌いの部類だと思って
いた。
まさか自分の理性が飛びそうになるなん
て…
グレッグはこれ以上はまずいと思い、
ソフィアの手を解放した
のだろう。ひとしきり涙が出てしまうと、
冷静になってくる。
ヒリヒリと手首に痛みが襲ってくる。
腫れぼったくなった瞼を持ち上げて、手首
に目をやると、皮膚が少しえぐれている。
先程、縄を解こうとした時に擦れた部分だ。
今頃になって、グレッグ様の服を涙と血で
汚してしまったと気づく。
「グレッグさま、すみません…」
慌てて離れるソフィアの様子をグレッグは
怪訝に思う。
ソフィアの温もりの残る自身の胸の辺りを
観察してすぐに察する。
「ソフィア、手を見せて。
ソフィアの姿を見て我を忘れて抱きしめ
てしまった。
怪我の確認が遅れてすまない」
「こ、これくらい、大丈夫です。平気です、なんともありません…」
鞭で打たれていたこともあるので、自分に
とってはこれくらいかすり傷だ。
「私が大丈夫じゃないんだ。さぁ見せて。
痛みに慣れてはいけない。
ソフィア、私の前では平気なふりをしな
くてもいいんだ。
少し沁みるかもしれない。」
「あ、あの、これ以上ご迷惑をおかけするわけには…」
「迷惑などかかっていない、いや、むしろ助けられている」
「え?」
「私達は怪我など日常茶飯事だ。
簡単な応急処置を迅速にできなければなら
ない。
なにごとも上達するには練習あってのも
の…
こうやってソフィアに包帯を巻くことも、
く、訓練の一貫だ、いや、むしろ騎士とし
ての義務だ。」
「ふふ…」
グレッグ様の優しさが感じられて、思わずはにかむ。泣き笑いのようなおかしな状態になっていた。
グレッグはポケットから包帯と軟膏を取り出すと、ソフィアの傷口に軟膏をゆっくりと塗っていく。
有事の際に備えて携帯していて良かったと
グレッグは改めて思う。
「…グレッグ様、どうして分かったので
すか?」
「あぁ、それは、アンジェリカ嬢の侍女と
名乗る者が本舎に駆け込んできたのだ。
お嬢様を助けてほしいと。
他の者は半身半疑だったが、ソフィアの
名が出たので、自分の目で確かめなければ
と飛び出した。
ソフィアの名が出た時点で、行かないとい
う選択肢はない!」
きっぱりと言い放つグレッグ様の言葉に、
嬉しくてトクンと胸が高鳴る。
アンさんが助けを呼びに行ってくれたんだ
アンジェリカのためだったとは言え、私の
ことも伝えてくれて結果的に助けられた。
「…ありがとうございました」
泣き腫らしてひどい顔だったので、グレッ
グ様を見ることができない
綺麗に巻かれた包帯を見ながらお礼を言う。
「ソフィア、顔を上げて」
「す、すみません、目を合わさずにお礼
を言うなど失礼なことをして…
でも、私、今、ひどい顔なんです。
だから…」
「…そうか、見られたくないのだな…
女性心に疎くてすまない。顔を見れない
のは寂しいが…ならば…」
グレッグはソフィアの手を取るとそっと口
付けを落とす。
「あ、あの!グ、グレッグ様!」
あわあわと困惑する私を気にするでもなくグレッグ様は続ける。
ちゅ、ちゅ、ちゅ、とゆっくりとグレッグは
ソフィアの手に口づけを落とす。
「ソフィア、消毒が必要なんだ。」
「あ、あの、しょ、消毒ですか?」
「あぁ、私に任せてくれ」
「んんっ」
思わず変な声がでる。
あぁ、かわいい
グレッグは包帯の部分を避けて、優しく
腕へと進んで行く
ソフィアは反対の手で痣を隠そうとした
「ごめんなさい…グレッグ様…私…その…身体中に痣が残っていて…」
「ソフィア、全部見せて、ソフィアの
過去も今も私が消毒するから」
痣を隠しているソフィアの反対の手をグレ
ッグはそっと持ち上げる。
先程と同じく口づけを落とした後、今度は
軽く喰んでいく。
ソフィアの指、手のひら、手首、腕へと。
ソフィアは何をされているのか分からずに
されるがままだった。
あぁ、かわいい
グレッグは自分の中に宿る欲望の塊と闘っ
ていた。
自分はどうしてしまったのか
自分で言うのもなんだが、紳士的だと思
う。
どちらかというと女嫌いの部類だと思って
いた。
まさか自分の理性が飛びそうになるなん
て…
グレッグはこれ以上はまずいと思い、
ソフィアの手を解放した