傷だらけの令嬢〜逃げ出したら優しい人に助けられ、騎士様に守られています〜
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「いらっしゃいませ。三日月亭へようこそ。お食事のみのご利用でしたら、あちらの空いてるお席へどうぞ。」
「こんちにちは、ソフィアちゃん。
ランチ3つ頼むよ」
「はい、ランチ3つですね。今日のランチはルイーザさん特製のポトフです。」
三日月亭のお昼時は、混雑解消のためにメニューは日替わりランチのみの提供となっている。
ルイーザさんの作るポトフは、季節の食材をコトコト煮込んだ人気メニューだ。
ルイーザさんにレシピを教わって、最近やっと私も再現できるようになったところだ。
と言っても、まだお客様に提供する自信がなくて…
ルイーザさんからは大丈夫だとは言われているのだけど。
練習も兼ねて、時々自分用に煮こんでいる。
今日も朝煮込んだので、お昼と夜と、明日の朝食べる分まであるかなと思う。
お給金までいただいているし、何から何までお世話になるのは申し訳ないので、少しづつ自立しようと心がけている。
その一環として食事は別に摂らせてもらうことにした。
部屋代も受け取ってもらえなくて…
もう逃げる必要もなくなったので、そろそろ自分で部屋を借りようかなと考えている。
ダンさんとルイーザさんには本当にお世話になっている。二人への恩返しができていないので、できればここでのお仕事は続けていきたい。
「いらっしゃいませ……グレッグ様?」
グレッグは入口の扉を開けると、すぐにソフィアの元へと向かう。騎士服姿のグレッグが通るだけで、周囲はちらちらと視線を送る。
「ソフィア、変わりはないか?」
「ふふふ、グレッグ様、毎日お会いしてるじゃないですか」
グレッグは、仕事帰りにいつも三日月邸へと顔を出すようになっていた。
ソフィアの元気な姿を確認しないと落ち着かないのだ。
時間の遅くなった時は、こっそり2階のソフィアの部屋の窓から覗くほどに…
「…まぁそうだが、一緒にいない時にソフィアの身に何か起こっていないか、心配なんだ。私が常に傍にいられるといいのだが」
「大丈夫です。でも……うれしいです」
ソフィアは、頬を染めて恥ずかしそうに答える。
その様子を目にしたグレッグは「かわいい」と言いながら、ソフィアの髪を少し指に絡めとり口づけを落とす。
「グ、グ、グレッグ様…他の人が見てます」
「問題ない。ソフィアの照れた顔を他のやからに見せたくはないが」
「あ、あの、でも、お仕事の途中なのでは…後ろの方が…」
「ん?」
ソフィアとの貴重な癒しの時間を邪魔する奴は誰だと思いつつ振り向く。
「ど、どーもっす。先輩…」
「キース、死にたいんだな」
「は⁉︎いや、いや、いや、俺は隊長に言われたんすよ。先輩がちゃんと手紙を届けるか見てこいって。
なのに先輩が、いきなりいちゃつきだすから、声かけるタイミングがなくて…
先輩の恋人ですか?美人さんですね
、あっ!もしかして、この間先輩と抱き合っていた…」
「えっ」
ソフィアはキースの言葉に動揺して焦りだし、グレッグに助けを求める。
「キース、私の言ったことをもう忘れたのか? 視界に入れるなと言ったはずだが」
「ちょっ、先輩、目の前にいるのに無理っすよ」
「表へ出ろ」
グレッグはキースの襟首を掴むと、引っ張って外へと連れて行こうとする
「グレッグ様、私なら大丈夫ですから」
「先輩、暴力はいけないっす、横暴です」
「暴力ではない。これは後輩への指導だ」
「揉め事は困りますよ、グレッグ様」
騒ぎを聞きつけたルイーザさんが、奥から顔を出す。
「ルイーザさん」
「ソフィア、少し落ち着いたから休憩へお入り。ここだと騒がしいからね。ソフィアの部屋でゆっくりしておいで。」
「ルイーザさん、すみません。ありがとうございます。では、グレッグ様と…お連れの方もどうぞこちらです」
ソフィアはルイーザに断りを入れると、二人を自身の部屋へと案内することにした。
「こんちにちは、ソフィアちゃん。
ランチ3つ頼むよ」
「はい、ランチ3つですね。今日のランチはルイーザさん特製のポトフです。」
三日月亭のお昼時は、混雑解消のためにメニューは日替わりランチのみの提供となっている。
ルイーザさんの作るポトフは、季節の食材をコトコト煮込んだ人気メニューだ。
ルイーザさんにレシピを教わって、最近やっと私も再現できるようになったところだ。
と言っても、まだお客様に提供する自信がなくて…
ルイーザさんからは大丈夫だとは言われているのだけど。
練習も兼ねて、時々自分用に煮こんでいる。
今日も朝煮込んだので、お昼と夜と、明日の朝食べる分まであるかなと思う。
お給金までいただいているし、何から何までお世話になるのは申し訳ないので、少しづつ自立しようと心がけている。
その一環として食事は別に摂らせてもらうことにした。
部屋代も受け取ってもらえなくて…
もう逃げる必要もなくなったので、そろそろ自分で部屋を借りようかなと考えている。
ダンさんとルイーザさんには本当にお世話になっている。二人への恩返しができていないので、できればここでのお仕事は続けていきたい。
「いらっしゃいませ……グレッグ様?」
グレッグは入口の扉を開けると、すぐにソフィアの元へと向かう。騎士服姿のグレッグが通るだけで、周囲はちらちらと視線を送る。
「ソフィア、変わりはないか?」
「ふふふ、グレッグ様、毎日お会いしてるじゃないですか」
グレッグは、仕事帰りにいつも三日月邸へと顔を出すようになっていた。
ソフィアの元気な姿を確認しないと落ち着かないのだ。
時間の遅くなった時は、こっそり2階のソフィアの部屋の窓から覗くほどに…
「…まぁそうだが、一緒にいない時にソフィアの身に何か起こっていないか、心配なんだ。私が常に傍にいられるといいのだが」
「大丈夫です。でも……うれしいです」
ソフィアは、頬を染めて恥ずかしそうに答える。
その様子を目にしたグレッグは「かわいい」と言いながら、ソフィアの髪を少し指に絡めとり口づけを落とす。
「グ、グ、グレッグ様…他の人が見てます」
「問題ない。ソフィアの照れた顔を他のやからに見せたくはないが」
「あ、あの、でも、お仕事の途中なのでは…後ろの方が…」
「ん?」
ソフィアとの貴重な癒しの時間を邪魔する奴は誰だと思いつつ振り向く。
「ど、どーもっす。先輩…」
「キース、死にたいんだな」
「は⁉︎いや、いや、いや、俺は隊長に言われたんすよ。先輩がちゃんと手紙を届けるか見てこいって。
なのに先輩が、いきなりいちゃつきだすから、声かけるタイミングがなくて…
先輩の恋人ですか?美人さんですね
、あっ!もしかして、この間先輩と抱き合っていた…」
「えっ」
ソフィアはキースの言葉に動揺して焦りだし、グレッグに助けを求める。
「キース、私の言ったことをもう忘れたのか? 視界に入れるなと言ったはずだが」
「ちょっ、先輩、目の前にいるのに無理っすよ」
「表へ出ろ」
グレッグはキースの襟首を掴むと、引っ張って外へと連れて行こうとする
「グレッグ様、私なら大丈夫ですから」
「先輩、暴力はいけないっす、横暴です」
「暴力ではない。これは後輩への指導だ」
「揉め事は困りますよ、グレッグ様」
騒ぎを聞きつけたルイーザさんが、奥から顔を出す。
「ルイーザさん」
「ソフィア、少し落ち着いたから休憩へお入り。ここだと騒がしいからね。ソフィアの部屋でゆっくりしておいで。」
「ルイーザさん、すみません。ありがとうございます。では、グレッグ様と…お連れの方もどうぞこちらです」
ソフィアはルイーザに断りを入れると、二人を自身の部屋へと案内することにした。