傷だらけの令嬢〜逃げ出したら優しい人に助けられ、騎士様に守られています〜
✳︎✳︎✳︎
「やばい、やばい、やばい、あ~~~~
ちょ、先輩見かけなかった?執務室にいな
かったんだよね」
本舎に戻ると、真っ先にキースはグレッグの執務室に駆け込んだ。が、もぬけの殻だった。
同僚の姿を見かけて慌てて問いかける。
「おぉキース、お前の言う先輩ってグレッグ様だよな、今日は見かけてないな、誰か知ってるか?」
「見てないです」
「だそうだ、おい、どうした?緊急案件か?手を貸そうか」
「あ、いや、ちょっと……緊急と言えば緊急のような…」
「なんだ、難しい案件か。隊長に聞いてみろ」
「ありがとうっす。この件はそうなんだ、難しくて…次の時は手を借りるっす、じゃ」
キースは同僚の優しさに甘えそうになるのをこらえて、隊長室を目指して疾走した
「隊長‼︎大変です‼︎大至急先輩に!」
「おい、キース、お前、せめてノックぐら
いしろ。グレッグでさえノックするぞ。返
事をする前に入ってくるがな……お前らな、もう少し私を敬えとまでは言わないが…」
キースは血相を変えて室内に駆け込むと、執務机で作業している隊長に詰め寄った。
机の上に両手を勢いよくついて、隊長の話を遮る。
「隊長!大変なんです、ソフィアちゃんが、ソフィアちゃんが、お、男の人と抱きあってました、あ、あ、あの、ソフィアちゃんというのは…このことは、内密にお願いしたいんすけど、実は…」
息も切れ切れにキースは、先程見た光景のことを伝えようとした。が、今度は隊長がキースの話を遮る
「な、な、な、な、な、そ、そ、そ、そ、それは一大事だな…まずいな、こ、殺される…」
「って、え?隊長はソフィアちゃんのこと知ってたんすか?俺でさえ昨日しったばかりなのに」
「私だって昨日知ったばかりだ」
「やはり相手の人は命はないですよね…」
「お前ばかか!お前と私の命も危ないぞ!いいか、キース、婚約者の浮気現場を目撃したお前が無事でいられると思うか?
というか、なぜ戻ってきた、そう言う場合はな、さりげなく間に入り込んでお前も同席するか、婚約者をせめて送り届けないと……」
「えー、無理っすよ、だって、なんか、こう、二人の間の空気というか、上手く言えないんすけど、とても話しかけられないような感じで。それに、ソフィアちゃん泣いてたような…」
「なんだと!訳ありなのか⁉︎
もしかして…彼女は…
二人は付き合っていたのではないか?そうだ、そうに違いない。あいつは自分の気持ちを受け入れてもらったと言っていたが…
割り込んだのか…彼女は怖くて断れなかったんだな、
でないとあのグレッグと付き合っていて浮気するなど考えられない!
あ~そうなのか、まいったな、上司としてどうすべきか…
プライベートなことに口を出すのは…
きっと彼女の幸せを願って、男は身を引いたのだろう。だが、お互いの気持ちに嘘はつけなくなって、感情が昂り抱擁を…」
隊長は一人芝居をするかのように、自身をだきしめる仕草をしながら語りだしていた
「いや、どーっすかね?
どちらかというとソフィアちゃんが抱きつかれていたような…それに、昨日先輩とソフィアちゃんと一緒に話したんすけど、ラブラブでしたよ」
隊長はキースの肩に手を置き諭すように話す
「キース、お前もまだ若いな。大人の事情というものがまだ分からないんだな。経験を積め。
彼女は好いた男のために、演技をしているんだ、考えてもみろ、グレッグのような高位貴族に睨まれて、一般庶民が無事でいられるわけないだろう?
彼女はな、泣く泣く男と別れたんだ。
そして、グレッグのいない時に…
私たちにできることは、見守ることだ。いいか、キース、人の恋愛事情に介入してはいけない。
このことはグレッグには黙っていろ。見なかったことにするんだ、命が惜しければな。」
隊長は頭の中で完全にソフィア達の物語を創りあげているようだった。
「えー、というか、先輩いないんすか?」
「あぁ、しばらく、戻らない、聞いていないのか? とにかくだ、万が一駆け落ちでもした場合が問題だ。キース、お前は彼女達の動向を監視するんだ。特別任務だ。」
「えー、まぁ、ソフィアちゃんに何かあったら、先輩に合わせる顔がないのでいいっすけど…
でも、もしも隊長の言う通りあれが演技だとしたら…女の人を信じられないっす…」
隊長の言葉を完全に鵜呑みにしたわけではないキースだったが、なんとなく何もせずにその場を離れてしまった罪悪感があった。
とりあえず二人を見守りつつ、様子をみてからグレッグに報せようと思うのだった。
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「やばい、やばい、やばい、あ~~~~
ちょ、先輩見かけなかった?執務室にいな
かったんだよね」
本舎に戻ると、真っ先にキースはグレッグの執務室に駆け込んだ。が、もぬけの殻だった。
同僚の姿を見かけて慌てて問いかける。
「おぉキース、お前の言う先輩ってグレッグ様だよな、今日は見かけてないな、誰か知ってるか?」
「見てないです」
「だそうだ、おい、どうした?緊急案件か?手を貸そうか」
「あ、いや、ちょっと……緊急と言えば緊急のような…」
「なんだ、難しい案件か。隊長に聞いてみろ」
「ありがとうっす。この件はそうなんだ、難しくて…次の時は手を借りるっす、じゃ」
キースは同僚の優しさに甘えそうになるのをこらえて、隊長室を目指して疾走した
「隊長‼︎大変です‼︎大至急先輩に!」
「おい、キース、お前、せめてノックぐら
いしろ。グレッグでさえノックするぞ。返
事をする前に入ってくるがな……お前らな、もう少し私を敬えとまでは言わないが…」
キースは血相を変えて室内に駆け込むと、執務机で作業している隊長に詰め寄った。
机の上に両手を勢いよくついて、隊長の話を遮る。
「隊長!大変なんです、ソフィアちゃんが、ソフィアちゃんが、お、男の人と抱きあってました、あ、あ、あの、ソフィアちゃんというのは…このことは、内密にお願いしたいんすけど、実は…」
息も切れ切れにキースは、先程見た光景のことを伝えようとした。が、今度は隊長がキースの話を遮る
「な、な、な、な、な、そ、そ、そ、そ、それは一大事だな…まずいな、こ、殺される…」
「って、え?隊長はソフィアちゃんのこと知ってたんすか?俺でさえ昨日しったばかりなのに」
「私だって昨日知ったばかりだ」
「やはり相手の人は命はないですよね…」
「お前ばかか!お前と私の命も危ないぞ!いいか、キース、婚約者の浮気現場を目撃したお前が無事でいられると思うか?
というか、なぜ戻ってきた、そう言う場合はな、さりげなく間に入り込んでお前も同席するか、婚約者をせめて送り届けないと……」
「えー、無理っすよ、だって、なんか、こう、二人の間の空気というか、上手く言えないんすけど、とても話しかけられないような感じで。それに、ソフィアちゃん泣いてたような…」
「なんだと!訳ありなのか⁉︎
もしかして…彼女は…
二人は付き合っていたのではないか?そうだ、そうに違いない。あいつは自分の気持ちを受け入れてもらったと言っていたが…
割り込んだのか…彼女は怖くて断れなかったんだな、
でないとあのグレッグと付き合っていて浮気するなど考えられない!
あ~そうなのか、まいったな、上司としてどうすべきか…
プライベートなことに口を出すのは…
きっと彼女の幸せを願って、男は身を引いたのだろう。だが、お互いの気持ちに嘘はつけなくなって、感情が昂り抱擁を…」
隊長は一人芝居をするかのように、自身をだきしめる仕草をしながら語りだしていた
「いや、どーっすかね?
どちらかというとソフィアちゃんが抱きつかれていたような…それに、昨日先輩とソフィアちゃんと一緒に話したんすけど、ラブラブでしたよ」
隊長はキースの肩に手を置き諭すように話す
「キース、お前もまだ若いな。大人の事情というものがまだ分からないんだな。経験を積め。
彼女は好いた男のために、演技をしているんだ、考えてもみろ、グレッグのような高位貴族に睨まれて、一般庶民が無事でいられるわけないだろう?
彼女はな、泣く泣く男と別れたんだ。
そして、グレッグのいない時に…
私たちにできることは、見守ることだ。いいか、キース、人の恋愛事情に介入してはいけない。
このことはグレッグには黙っていろ。見なかったことにするんだ、命が惜しければな。」
隊長は頭の中で完全にソフィア達の物語を創りあげているようだった。
「えー、というか、先輩いないんすか?」
「あぁ、しばらく、戻らない、聞いていないのか? とにかくだ、万が一駆け落ちでもした場合が問題だ。キース、お前は彼女達の動向を監視するんだ。特別任務だ。」
「えー、まぁ、ソフィアちゃんに何かあったら、先輩に合わせる顔がないのでいいっすけど…
でも、もしも隊長の言う通りあれが演技だとしたら…女の人を信じられないっす…」
隊長の言葉を完全に鵜呑みにしたわけではないキースだったが、なんとなく何もせずにその場を離れてしまった罪悪感があった。
とりあえず二人を見守りつつ、様子をみてからグレッグに報せようと思うのだった。
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