傷だらけの令嬢〜逃げ出したら優しい人に助けられ、騎士様に守られています〜

7ソフィアside

ソフィアとキースとジャックは、馬車へ乗せられてノーマン邸の牢屋へと放り込まれていた。

「ソフィアちゃん、危ない目に合わせてごめん。もう少しの辛抱っす、俺がなんとかするから。ジャックさんも大丈夫ですか?」


「キースさんのせいじゃありません。ごめんなさい、こちらこそ泊まっていただいたばかりに…」

「…僕とソフィアが狙いのようだったね…」

「もう少しっす…」

キースは手を縛られた状態で、正座をしていた

何やらモゾモゾと動いて、後ろ手で足元を触っている

「上手くいった」

キースを縛っていた縄が、パサリと床に落ちる

「キースさん、ど、どうやったのですか?」

「ソフィアちゃん、ちょっと失礼するっす、危ないから動かないでほしい」

キースは小型のナイフを手に持つと、ソフィアの縄を器用に切り解いた。

次にジャックの縄も解く




「色々と想定して、足元に小さなナイフを隠してるんだよね。二人とも、俺の真似をして。
こうして縄を身体に回して、後ろの手で持って縛られている状態にみえるように」


「なるほど、カムフラージュですね」

「カムフラージュ?」

「そうっす、牢の鍵は開けられそうにないから、誰かが来た時が逃げるチャンスっす。 相手は俺達が縛られてるから少なからず油断してる。その隙を狙って一気に脱出を狙う」

「あの、もしも、私が足手纏いになるようでしたらどうか二人だけでも逃げてください」

「ありえないっす!」
「何を言ってるんだソフィア」

二人に猛反対されてソフィアはしゅんとする

「ご、ごめんなさい、足が震えて上手く動けるか心配で…迷惑をかけそうで…」

「どういう状況になるか分からないから、二人とも俺の指示に従ってほしい。いいですね?

俺はこう見えても、それなりに強いので心配なく。
グレッグ先輩にも頼りにされてる(はず)っす」


「…グレッグ様」


グレッグの名前を聞いて、ソフィアは泣きそうになる

「ソフィアちゃん、大丈夫だから、必ず先輩の元へ連れて行くから。というか、先輩がこの状況を知ったらすっ飛んで来るはずなんですけどね」

「ふふ、そうかもしれませんね。
グレッグ様が知ったらきっと、助けに来てくれそうですね」

「心配いらないっす、先輩に知られる前にみんなでここから脱出しましょう!」

(ジャックさんには少し怪我をさせてしまって申し訳ないけど、早急に脱出しなけばやばい…

できれば先輩に知られたくないのだけど…無理っすよね…)

キースはこの状況よりも、グレッグに知られた後の方に命の危険を感じていた



「…ソフィアは、グレッグさんのことを本当に好いているんだね」


「えっと…好……もう、恥ずかしいわジャック
 グレッグ様は私にはもったいないくらいとても素敵な方なの。
本当にお世話になってばかりで…
今度ぜひジャックにも紹介させて」


目を輝かせて話すソフィアと対照的に、ジャックの瞳にはほんのりと暗い影がよぎった
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