傷だらけの令嬢〜逃げ出したら優しい人に助けられ、騎士様に守られています〜
8キースside
~18話後キースside~
ジャックの立ち去った方向にキースは進んでいた
はずだった……
が、明らかに先程の造りとは違う廊下を進んでいた
思い返せば、別棟に渡ってしまったような気がしてきていた
薄ぐらい廊下の奥深くに辿り着くと、
かすかに人の気配がする
「ここか?」
キースは扉の鍵の穴から室内の様子を窺った
「ソフィアちゃん‼︎ 扉から離れていて!
すぐに助けるから」
キースは外側に取り付けられた錠を刀
の柄で叩きつけて破壊した後、扉に思いっきり体当たりをした
「ソフィアちゃん!無事っすか?
どうしてこんな所に?って、
え⁉︎ あ、あなた様は…やばっ、す、すぐに解くっすますです」
キースはソフィアと、一緒にいる男性の縄を早急に解いた
「いやぁ、助かったよ、君は?」
「お、俺はキースと言います!治安隊の騎士であります!」
ビシッと男性に最敬礼で答えるキースは心臓が止まりそうになるほど驚いていた
「治安隊……? ということは、グレッグと面識あるのかな」
「はっ!俺はグレッグ先輩にはお世話になっています。あ、あの、どうしてアレクセイ様がソフィアちゃんと……?」
キースは隣にいるソフィアに視線を向ける
キースの視線を捉えた女性は、にこりと微笑みを浮かべる
「キースさんとおっしゃるのかしら?
ソフィアさんのこと、詳しく教えていただける?」
キースは自分達が誘拐されたことを二人に伝えた。
そして二人からも事情を伺った
✳︎✳︎✳︎
時を遡ること少し前
カムフラージュされた貸切の荷馬車が、ノーマン邸へと向かっていた
前方にアンジェリカ、後方には男達が乗っていた
あの男は別行動となった
フードを被り顔を隠したまま、アンジェリカは馬車の隙間から通りを眺めていた
「あれは!ちょっと止めなさい!あなた達、あの女がソフィアよ!さっさとおりなさい!」
腰まである長い金髪の女性と、ゆるやかに髪を束ねた黒髪の男性が腕を組むように寄り添って歩いていた
「リリー、いったいどこへ向かっているの?」
「たしか、もうすぐですわ、どうしてもお会いしたい人がいるの」
「皆に隠れて会わないといけない人なのかい?」
「アレク、隠れるだなんて人聞きが悪いですわ、それにアレクには護衛がついているのでしょう?」
「あぁ。まぁ護衛がいなくても問題ない。
リリーのことは私が守るから。
それに、きちんと身につけてくれて嬉しいよ」
アレクセイはリリアーナの胸元に光るネックレスを指でそっと触れる
「も、もう、アレクったら、そんなところを急に触れられたら驚くではありませんの」
「ふふ、私はネックレスに触れただけだよ? リリーは初心だよね。そういうところも綺麗だよ」
「アレク、もうからかうのは、おやめになって」
「リリー、そのネックレスがあるから大丈夫だ。私を信じてくれるね?」
「えぇ、もちろんですわ」
「ちょっと、つけられているようだ。あちらの人通りのない所へこのまま行こう。そこで始末する」
「すりか人攫いか…数が多いな」
二人は薄暗い路地へとぐんぐん進んで行く
路地にはいった途端、勢いよく男達が駆けてきて二人を取り囲んだ
手には凶器を振り翳し、ニタニタと下卑た笑いを浮かべる
「痛いめにあいたくなきゃ、大人しくついてきな、お二人さんよ」
「あなた達、おふざけはいいから、さっさと連れて来なさいね‼︎
先に行っているから!」
路地の向こうからフードを被った女性が大声で男たちに命じている
「あれは…」
「アレク、あの声の女性は…」
男は周囲へ見えるように手で形を作る
まるで何かの合図のように。
護衛に手出しをしないように指示を出したアレクセイは男達に声をかける
「抵抗はしないよ、いったい私たちに何の用かな」
「うっせぇ!無駄口はいいから二人とも大人しくついてきな」
男達に取り囲まれたまま二人は馬車へと連れて行かれた
というわけで、色々あって今に至るのだよ。
キース、私達も手を貸そう。
案内してもらえるか
「は、はいっ!」
三人は目的地が分からずにやみくもに進んでいた
「あの!
この先の部屋から先輩の声がするっす、ソフィアちゃんも無事なようなのです。
お、俺は察知能力には自信あるのでっ!
なので
たいへん申し訳ありません!
今、俺は先輩に見つかると殺されます!
本当に無礼をおゆるしください!」
キースは言葉を言い終える前に逃げるように走り去った
「ありがと……う、なんだか随分忙しい青年だな。
今度何か礼をしよう。
リリー、先の様子を見てくる。ここにいてくれるか」
「アレク、無茶なことはしないでね」
「あぁ、」
アレクセイは背後から護衛がやってくる気配を感じていた。
あれから指示を出していなかったからか
予想より遅かったな
リリーを怖がらせてしまった
リリーへのお詫びの贈り物は何がいいだろうか
まぁ、滅多にない面白い経験ができたと思うアレクセイだった
(25話への登場へ)
ジャックの立ち去った方向にキースは進んでいた
はずだった……
が、明らかに先程の造りとは違う廊下を進んでいた
思い返せば、別棟に渡ってしまったような気がしてきていた
薄ぐらい廊下の奥深くに辿り着くと、
かすかに人の気配がする
「ここか?」
キースは扉の鍵の穴から室内の様子を窺った
「ソフィアちゃん‼︎ 扉から離れていて!
すぐに助けるから」
キースは外側に取り付けられた錠を刀
の柄で叩きつけて破壊した後、扉に思いっきり体当たりをした
「ソフィアちゃん!無事っすか?
どうしてこんな所に?って、
え⁉︎ あ、あなた様は…やばっ、す、すぐに解くっすますです」
キースはソフィアと、一緒にいる男性の縄を早急に解いた
「いやぁ、助かったよ、君は?」
「お、俺はキースと言います!治安隊の騎士であります!」
ビシッと男性に最敬礼で答えるキースは心臓が止まりそうになるほど驚いていた
「治安隊……? ということは、グレッグと面識あるのかな」
「はっ!俺はグレッグ先輩にはお世話になっています。あ、あの、どうしてアレクセイ様がソフィアちゃんと……?」
キースは隣にいるソフィアに視線を向ける
キースの視線を捉えた女性は、にこりと微笑みを浮かべる
「キースさんとおっしゃるのかしら?
ソフィアさんのこと、詳しく教えていただける?」
キースは自分達が誘拐されたことを二人に伝えた。
そして二人からも事情を伺った
✳︎✳︎✳︎
時を遡ること少し前
カムフラージュされた貸切の荷馬車が、ノーマン邸へと向かっていた
前方にアンジェリカ、後方には男達が乗っていた
あの男は別行動となった
フードを被り顔を隠したまま、アンジェリカは馬車の隙間から通りを眺めていた
「あれは!ちょっと止めなさい!あなた達、あの女がソフィアよ!さっさとおりなさい!」
腰まである長い金髪の女性と、ゆるやかに髪を束ねた黒髪の男性が腕を組むように寄り添って歩いていた
「リリー、いったいどこへ向かっているの?」
「たしか、もうすぐですわ、どうしてもお会いしたい人がいるの」
「皆に隠れて会わないといけない人なのかい?」
「アレク、隠れるだなんて人聞きが悪いですわ、それにアレクには護衛がついているのでしょう?」
「あぁ。まぁ護衛がいなくても問題ない。
リリーのことは私が守るから。
それに、きちんと身につけてくれて嬉しいよ」
アレクセイはリリアーナの胸元に光るネックレスを指でそっと触れる
「も、もう、アレクったら、そんなところを急に触れられたら驚くではありませんの」
「ふふ、私はネックレスに触れただけだよ? リリーは初心だよね。そういうところも綺麗だよ」
「アレク、もうからかうのは、おやめになって」
「リリー、そのネックレスがあるから大丈夫だ。私を信じてくれるね?」
「えぇ、もちろんですわ」
「ちょっと、つけられているようだ。あちらの人通りのない所へこのまま行こう。そこで始末する」
「すりか人攫いか…数が多いな」
二人は薄暗い路地へとぐんぐん進んで行く
路地にはいった途端、勢いよく男達が駆けてきて二人を取り囲んだ
手には凶器を振り翳し、ニタニタと下卑た笑いを浮かべる
「痛いめにあいたくなきゃ、大人しくついてきな、お二人さんよ」
「あなた達、おふざけはいいから、さっさと連れて来なさいね‼︎
先に行っているから!」
路地の向こうからフードを被った女性が大声で男たちに命じている
「あれは…」
「アレク、あの声の女性は…」
男は周囲へ見えるように手で形を作る
まるで何かの合図のように。
護衛に手出しをしないように指示を出したアレクセイは男達に声をかける
「抵抗はしないよ、いったい私たちに何の用かな」
「うっせぇ!無駄口はいいから二人とも大人しくついてきな」
男達に取り囲まれたまま二人は馬車へと連れて行かれた
というわけで、色々あって今に至るのだよ。
キース、私達も手を貸そう。
案内してもらえるか
「は、はいっ!」
三人は目的地が分からずにやみくもに進んでいた
「あの!
この先の部屋から先輩の声がするっす、ソフィアちゃんも無事なようなのです。
お、俺は察知能力には自信あるのでっ!
なので
たいへん申し訳ありません!
今、俺は先輩に見つかると殺されます!
本当に無礼をおゆるしください!」
キースは言葉を言い終える前に逃げるように走り去った
「ありがと……う、なんだか随分忙しい青年だな。
今度何か礼をしよう。
リリー、先の様子を見てくる。ここにいてくれるか」
「アレク、無茶なことはしないでね」
「あぁ、」
アレクセイは背後から護衛がやってくる気配を感じていた。
あれから指示を出していなかったからか
予想より遅かったな
リリーを怖がらせてしまった
リリーへのお詫びの贈り物は何がいいだろうか
まぁ、滅多にない面白い経験ができたと思うアレクセイだった
(25話への登場へ)