国一番の大悪女は、今から屋敷の外に出て沢山の人達に愛されにいきます
SIDE:CLAVIS《サイド:クラヴィス》


SIDE:CLAVIS《サイド:クラヴィス》



自国マリス国にいた時は、ずっと外も気軽に出歩けないような状況だった。

そんな生活に慣れていた。

兄に命を狙われ、ずっと息苦しい生活を送っていた。

隠れるように生活する息子に何も言わない父。

それが普通の生活。

強さと優秀さを兼ね備えたものだけが生き残れる世界。

自室にいても訪ねてくるのは、幼い頃から私に使えてくれている侍従(じじゅう)だけ。

コンコン、というノック音の後に扉が開く。









「クラヴィス『殿下』、本日のご予定ですが……」








侍従の話を聞きながらも、ずっと心は冷めていた。





『マリス国第二王子』、それが生まれながらに私が持っていた身分だった。




権力を求める兄に命を狙われながら、息を潜めるように毎日を生きていた。
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