国一番の大悪女は、今から屋敷の外に出て沢山の人達に愛されにいきます
婚約
その日、私はユーキス国の王である父に呼び出されて王宮に来ていた。

私への興味のない父に呼び出されることに、私は少しだけ驚いた。

それでも、きっと良い話ではないことが想像がついて。

そして、久しぶりに顔を見た父はすぐにこう述べた。





「マリーナ。お前には、マリス国の第二王子と婚約してもらう」





いつかこんな日が来ることは分かっていた。

父は私を政略結婚の道具としか見ていないことなど知っているのだから。




それでも、何故か私の頭にはクラヴィスの顔が浮かんだ。




しかし、私はそんな考えをすぐに打ち消すように微笑んだ。

父である王には下に兄弟がおり、次の王位継承権は王弟殿下にある。

だから、私はユーキス国のために他国に嫁ぐことか、自国の貴族子息と結婚することはほぼ決まっていた。
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