国一番の大悪女は、今から屋敷の外に出て沢山の人達に愛されにいきます
そして、ドクドクと速なる心臓を抑えるより先に父から言葉が溢れていく。


「どうやら、第二王子は身分を隠して学園で学んでいた最中だったらしい。よくやった」


父の「よくやった」はきっとよく見初められたという意味だろう。

意味が分からないまま、私は気づいたら王との謁見(えっけん)を終えていた。

王との謁見を終えて、王宮にある自室に戻った私はしばらく呆然としていた。


その時、コンコンと扉がノックされて、使用人が「クラヴィス殿下がお見えです」と述べた。


心臓がドクドクと鳴っているのが胸に手を当てなくても分かるほど、私は緊張していた。

小刻みに震える体を抑えながら、私は客間に向かった。
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