国一番の大悪女は、今から屋敷の外に出て沢山の人達に愛されにいきます
客間に入れば……





「マリーナ」





そう私の名を呼ぶ声はいつも通りの「クラヴィス」の声で。

私は目に涙が溜まっていくのが分かった。

そして、震えた声で名を呼ぶことしか出来ない。




「クラヴィス……」




「驚かせただろうか?」




クラヴィスはそう仰って、私の前で膝をついた。





「っ……!?」






「マリーナ・サータディア第一王女殿下、貴方に婚約を申し込みたい」






そう仰って、クラヴィスはいつもと同じ雰囲気のまま微笑んだ。
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