国一番の大悪女は、今から屋敷の外に出て沢山の人達に愛されにいきます
クラヴィスは言葉通り、婚約を申し込まれた次の日も、その次の日も、毎日のようにクラヴィスは私に会いに来て下さった。

それでも、やっぱり上手く言葉が出てこなくて。




「マリーナ、どうしたの?」




「いえ……」




言葉に詰まる私にクラヴィスはこう仰るのだ。



「ねぇ、マリーナ。私が第二王子だと言うことを君に秘密にしていて、幻滅した?」



クラヴィスの問いに私は「そんなことは全くないですわ」と本心を答えた。

そんな私にクラヴィスは優しく笑った。




「マリーナは甘いよね」




「え……?」




「甘いのに、芯が強くて、度胸が『ある』。度胸がある『フリ』が上手いんじゃなくて、ちゃんと度胸があるんだ」





クラヴィスが私の髪に優しく触れる。





「大丈夫だよ、マリーナはちゃんと強い。度胸だってある。それに、いつだって前を向こうとしている」

「きっと強い君に私はきっと必要ないだろう。しかし、ただ……」








「ただそばにいたいだけなんだ」







ねぇ、私。

どうして貴方はクラヴィスに惹かれたの?

どんなところが好きだったの?

安心をくれるから?

いつだって守ってくれるから?

笑顔にしてくれるから?
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