国一番の大悪女は、今から屋敷の外に出て沢山の人達に愛されにいきます
「フリク?」



「いや、マリーナ自身が婚約が嫌ということは全くないんだなと思って。それが全てじゃないの?」

「きっと相手が欲しいのは、マリーナの本心だけのはずだ」



「……フリク、貴方はいつだって私に助言……いいえ、優しい言葉をくれますわ。貴方は私に無理難題を言いながらも、結局はいつだって優しい。貴方は一体何を考えているのですか?」

「マリーナ、君が噂を変えて、国民に好かれるのはきっともうすぐかもしれない。王女が婚約を結べば、それだけで注目を浴びる。あとは君の努力次第だろう」

フリクの表情が月明かりの逆光でよく見えない。




「俺は、もうすぐ君に……真実を言わなければいけない」




「え……?」




「ねぇ、マリーナ。沢山の人に好かれていく君を見たかったのは、一体誰なんだろうね」

「どういう意味ですの……?」

フリクの表情は見えないのに、何故かフリクが泣きそうに見えた。





「私は君を……」





その後に聞こえた言葉が嘘だと思いたかった。

聞き間違いだと思いたかった。









「ずっと恨んでいたはずなのに」








そして、想像もしないような言葉をフリクは続けて述べるのだ。










「マリーナ、私は君の願いを叶えることは出来ない」









謎が解け始める音がする。
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