国一番の大悪女は、今から屋敷の外に出て沢山の人達に愛されにいきます
月明かりに照らされたまま、フリクがこちらに近づいてくる。


「フリク……?」


「君が国民に好かれても、私は君の願いを叶えられない」


フリクの言葉はどこか淡々としていて。



「君が私の無理難題を乗り越えたところで、マリーナの一番会いたい人に会わせることは出来ない」



「っ……!?」



「マリーナ、君が一番会いたい人は誰?」



「それは……」



フリクはそう問いかけながらも、私が一番会いたい人が誰か分かっているようだった。


「マリーナが一番会いたいのは、幼い頃に自分を助けてくれた少年。そうだろう?」


フリクの問いに私は小さく頷いた。

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