国一番の大悪女は、今から屋敷の外に出て沢山の人達に愛されにいきます
「ねぇ、フリク。貴方は……」



今、フリクはどんな表情をしているのだろうか。





「私の味方なの?」





「俺が味方かどうかは、マリーナ次第だろう。俺は……」





言葉の後半は、フリクがわざと聞こえないほど小さな声で話したのだと思う。



「マリーナ、噂を消すのは簡単じゃない。嫌われ者の印象を変えることは難しい」

「だから、行動を起こすことだ。皆に『自分は噂のような人物ではない』と伝えるような行動を」

「マリーナが身をもって分かっている通り、噂は勝手に大きく広がっていく。それは悪い噂だけでなく、良い噂もだ」



フリクの言葉に答えようとした瞬間、もうフリクはいなくなっていた。

自分が味方であるかは私の行動次第と言いながら、まるで答えのようなヒントを残していく。



「フリク、貴方は一体何者なの……?」



誰もいない部屋で呟いた声は、薄暗い部屋に消えていった。
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