国一番の大悪女は、今から屋敷の外に出て沢山の人達に愛されにいきます
「馬術は得意ではなくて……」

「令嬢ならば、経験があるだけで十分だろう。マナーやダンスレッスンとは違い習う者すら少ない」

「しかし!」

「どうしたの? 勇気が出ない?」

「それは……」

「ねぇ、マリーナ。この大会に参加する女性は少ないだろう。だからこそ、面白いし影響力がある」

クラヴィスが私の力になろうとしてくれていることは明白だった。

それでも、まだすぐに了承するほど勇気が出し切れない。

その時、フリクの言葉が頭をよぎった。



「マリーナ、噂を消すのは簡単じゃない。嫌われ者の印象を変えることは難しい」

「だから、行動を起こすことだ。皆に『自分は噂のような人物ではない』と伝えるような行動を」

「マリーナが身をもって分かっている通り、噂は勝手に大きく広がっていく。それは悪い噂だけでなく、良い噂もだ」



皆、私には行動を起こす勇気があると信じてくれているから、アドバイスをくれるのだ。
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