国一番の大悪女は、今から屋敷の外に出て沢山の人達に愛されにいきます
「そうね、少し休憩しようかしら」

「では、準備して参ります」

すぐにクロルが休憩用の椅子と冷たい飲み物を用意してくれる。

椅子に腰掛けて、冷たい水を頂くと疲れが取れた感覚に(おちい)る。

「ありがとう、クロル。一息つけたわ……では、私はもう少し練習をしてくるわね」

「っ!マリーナ様、もう少し休まれた方がよろしいかと」

「クロル、でも大会まで時間が……」

「無理をして身体を壊しては、練習どころの話ではありません。休息も大切です」

クロルの言葉を聞いて、私は腰を上げた椅子にもう一度座り直した。

「……そうね、もう少し休んでいこうかしら」

「お水をもう一杯用意して参ります」

「お水はもう大丈夫。風に当たるだけで十分よ」

私は目を瞑り、しばらく風に当たっていた。
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