国一番の大悪女は、今から屋敷の外に出て沢山の人達に愛されにいきます
「でも、君は狡とかを毛嫌いするタイプだと思ってた」

「確かに真っ向勝負の方が好きですわ。ただ、それだけでは生きていけませんもの」

私はクラヴィスに聞こえないほどの声量で、最後にこう付け加えた。



「考え方によっては、フリクの力を借りるという狡をしたから、私は国一番の悪女になっていますのよ」



「マリーナ?」



「ふふ、なんでもありませんわ。これでも、私は手段を選ばない方だと言いたいだけです」



すると、クラヴィスは厩舎(きゅうしゃ)から、馬をもう一頭連れてきた。

そして、慣れた様子で馬に(また)がる。

「クラヴィス……教えて下さるのですか?」

「君が普通に勝ちたいと言ったのだろう?」

「……やっぱり、クラヴィスは優しいですわね」

「……??」

優しいと言われて、本当に意味が分かっていない様子のクラヴィスがどこか可愛くて、私はつい笑ってしまった。
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