国一番の大悪女は、今から屋敷の外に出て沢山の人達に愛されにいきます
「始めに言ったはずですわ。出場するなら、優勝つもりだと。前にクラヴィスが言いましたわよね」

「私には本当に度胸があるのか、それとも度胸があるフリが上手いのか、と。もしかしたら、私はフリが上手いだけかもしれない」

「それでも、いつだって諦めずに立ち向かうと決めていますの。だって、きっとそれが格好良い王女というものでしょう?」



私はクラヴィスと目を合わせて、微笑んだ。



「いつだって私は私の理想の王女でいたいのです」



すると、クラヴィスが急に立ち上がった。

「練習を再開しよう。マリーナ、こっちに来て」

「……??」

クラヴィスに連れられるまま、私がもう一度馬に(またが)る。

すると、突然クラヴィスが同じ馬に跨った。

私の後ろから私を抱きしめるような形で手綱(てづな)を掴んだ。

「クラヴィス……!」

「どうした?」

「どうしたというか……えっと……!」

「練習で無理をし過ぎるのは良くない。のんびり乗馬を楽しむことも大切だ」

「何故、同じ馬に乗る必要があるのですか……!」

私は顔に熱が集まっていくのを感じた。
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