国一番の大悪女は、今から屋敷の外に出て沢山の人達に愛されにいきます
「ねぇ、クロル。私、本当に嬉しいわ。だって、クロルが刺繍の入ったハンカチを使うところを見たことがないもの」
「……?」
「クロルはいつも無地のハンカチを使っているでしょう? それにリーリルから聞いたわ。物に無頓着でいつも適当に選んでるって」
私はもう一度、クロルがくれたハンカチに視線を向けた。
「それだけ悩んでくれたのでしょう? 本当にありがとう」
その時、丁度チャイムが鳴った。
「そろそろ会場に行かないとね」
その時、クロルが私に頭を下げ、一礼をした。
「マリーナ様の健闘を心より願っております」
クロルが急に初めて出会った従者のように畏まる。
だから、私も王女らしく微笑んだ。
「ええ。ありがとう」
私は、そのままクロルと別れた。
だから……クロルがその後に呟いた言葉を知らない。
聞こえるはずもない。
「マリーナ様、貴方の側に居られることが私の一番の幸せです」
会場に人が集まっていく。
馬術大会が始まろうとしていた。
「……?」
「クロルはいつも無地のハンカチを使っているでしょう? それにリーリルから聞いたわ。物に無頓着でいつも適当に選んでるって」
私はもう一度、クロルがくれたハンカチに視線を向けた。
「それだけ悩んでくれたのでしょう? 本当にありがとう」
その時、丁度チャイムが鳴った。
「そろそろ会場に行かないとね」
その時、クロルが私に頭を下げ、一礼をした。
「マリーナ様の健闘を心より願っております」
クロルが急に初めて出会った従者のように畏まる。
だから、私も王女らしく微笑んだ。
「ええ。ありがとう」
私は、そのままクロルと別れた。
だから……クロルがその後に呟いた言葉を知らない。
聞こえるはずもない。
「マリーナ様、貴方の側に居られることが私の一番の幸せです」
会場に人が集まっていく。
馬術大会が始まろうとしていた。