国一番の大悪女は、今から屋敷の外に出て沢山の人達に愛されにいきます
馬術大会
会場に着いた私は、自分の出番の順番を確認していた。

私の出番は、予選の中で三番目のレースだった。

今回の大会はコースにあるハードルのような障害物を超えてゴールを目指す。

そして、そのタイムを競う大会だ。

予選で良いタイムを残した5人だけが決勝に進める。

前のレースが始まり、タイムが記録されていく。

光景を見ているだけで緊張が広がっていくのが分かった。


最後の練習の日、クラヴィスにある質問をされた。


「ねぇ、マリーナ。君はもし優勝出来たら、表彰台の上で何を話すの?」


「え……?」


「前も言ったが、優勝して注目を集めている時に噂とは違う人物だと思わせるような発言をするのも良いだろう。確か優勝者は軽いスピーチをしても良いはずだ。優勝するだけで印象は変わるだろうから、マリーナに任せるが……」


クラヴィスの言葉が頭に残っている。

しかし、どちらにしてもまず優勝しないと。

予選が始まる直前、緊張して固まっていた手が(ほぐ)れていく感覚が分かった。
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