国一番の大悪女は、今から屋敷の外に出て沢山の人達に愛されにいきます
その時、チャイムが鳴り、馬術大会の決勝がもうすぐ始まろうとしていた。
「そろそろマリーナは会場に行かないとね」
「クラヴィス……!」
クラヴィスはいつも通りの微笑みを私に向けて、テラスを出ていく。
私はしばらくクラヴィスの背中から目が離せなかった。
会場に着くと、レースのスタート地点に並ぶ。
私を見つけた生徒たちがザワザワとし始めたのが分かった。
「あの大悪女、本当に出場しているわ」
「大会をめちゃくちゃにするつもりじゃないの。迷惑だわ」
「出なければいいのに」
会場で係員を担当している生徒の声が聞こえる。
私には聞こえないが、きっと観覧席で見ている生徒も同じ反応をしているだろう。
それでも、私は平然と騎乗してスタートラインに立った。
「表情も変えないで……気味が悪いわ」
知ってるわ。
それでも、ここで悲しい顔をするのは私の理想の格好良い王女に反するの。
だから、私は王女らしく微笑んだ。
どこまでの距離の人々が見えているかは分からない。
それでも、きっと小さなことで世界は変わっていく。
スタートの合図である笛が鳴ろうとしていた。
ピー、という音と共に一斉に馬が走り出す。
それでも、私の前を走っている馬は居なくて。
「そろそろマリーナは会場に行かないとね」
「クラヴィス……!」
クラヴィスはいつも通りの微笑みを私に向けて、テラスを出ていく。
私はしばらくクラヴィスの背中から目が離せなかった。
会場に着くと、レースのスタート地点に並ぶ。
私を見つけた生徒たちがザワザワとし始めたのが分かった。
「あの大悪女、本当に出場しているわ」
「大会をめちゃくちゃにするつもりじゃないの。迷惑だわ」
「出なければいいのに」
会場で係員を担当している生徒の声が聞こえる。
私には聞こえないが、きっと観覧席で見ている生徒も同じ反応をしているだろう。
それでも、私は平然と騎乗してスタートラインに立った。
「表情も変えないで……気味が悪いわ」
知ってるわ。
それでも、ここで悲しい顔をするのは私の理想の格好良い王女に反するの。
だから、私は王女らしく微笑んだ。
どこまでの距離の人々が見えているかは分からない。
それでも、きっと小さなことで世界は変わっていく。
スタートの合図である笛が鳴ろうとしていた。
ピー、という音と共に一斉に馬が走り出す。
それでも、私の前を走っている馬は居なくて。