国一番の大悪女は、今から屋敷の外に出て沢山の人達に愛されにいきます
無意識にクラヴィスの姿を探しても、見つからない。

そんな私に係の者が声をかけた。


「これから表彰式なのですが……」


私は慌てて我に帰り、すぐに表彰式に(うつ)る準備を始めた。

会場の視線が私に向いているのを感じる。

表彰式が始まっても、皆の注目は私に向いたままだった。

観客たちが私のスピーチ……言葉に集中しているのが分かった。

「誰か正しい言葉を教えて下さい」と願っても、当たり前だが誰も教えてなどくれない。

何が批判を集める言葉で、何が批判を(しず)める言葉なのかなんて誰にも分からない。

正解が誰にも分からないのならば、無いのならば、自分の言葉で話したい。



だって、噂と違う人物だと証明出来るのは……この場で私しかいないのだから。




さぁ、後は勇気を出すだけでしょう?





私は観客席を見渡した。
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