国一番の大悪女は、今から屋敷の外に出て沢山の人達に愛されにいきます
皆が噂というフィルターを通して、私を見ている。

苦しくないはずなどなかった。

皆が私を遠巻きに見て、誰も私と目を合わさない。

誰と目が合っているのか、皆が何を考えているのか分からなくなっていく。

観客席に目を向ければ、他の生徒と初めて目が合った気がした。



その時、どこかの生徒がパチパチと小さく拍手をする。



それを皮切りに少しの生徒だけだが拍手をしてくれる者が増えていく。

最後には全体の半分ほどが拍手をしてくれていたように感じた。

勿論、釣られただけの者も多いだろうが、涙が出そうなほど嬉しかった。

それでも、何とか表彰式が終わるまで涙を堪えた。
< 89 / 127 >

この作品をシェア

pagetop