国一番の大悪女は、今から屋敷の外に出て沢山の人達に愛されにいきます
「お嬢様は昔から身体が弱かったですが、幼い頃にたまに街へお出かけになった際はいつも三つ編みにしていたのを覚えておいでですか? ですから、少しでも街に出かけることに対して怖さより楽しさを思い出して欲しくて……」

私はつい「ふふっ」と笑ってしまった。

「お嬢様?」

「思い出したわ。いつもリーリルもお揃いで三つ編みにして、二人で街を走り回っていたもの。それをクロルが危ないと注意してくれて……ねぇ、リーリル。私も三つ編みにしたくなったわ」

私の言葉にリーリルは「では、すぐにセットしますね……!」と微笑んだ。

髪を整え終えると、私はフードの付いた服を羽織る。

「……折角、リーリルが三つ編みにしてくれたのにフードを被るのは申し訳ないわね……」

「お嬢様、気にしないで下さい。この三つ編みは、もう役目を果たしておりますわ」

「……??」

「お嬢様の緊張が解けて、いつも通り笑って下さった……それだけで十分価値がありますよ」

リーリルの言葉に私は、また心が温かくなっていくのが分かった。

私はフードを被って、頬をペチンと軽く叩いた。




「行ってきます」




寮を出ると、心地よい風が吹いてさらに心が落ち着いていく。
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