国一番の大悪女は、今から屋敷の外に出て沢山の人達に愛されにいきます
街に着いた私たちは、私の願いでクラヴィスに渡す練習のお礼を探すことになった。

「クラヴィスは今、欲しいものはありますか?」

「欲しいものか、特に思いつかないな。しかし……」

クラヴィスが目線を近くのカフェに向けた。

「最近、甘いものを食べていなかったから、久しぶりに食べたいかな。マリーナ、付き合ってくれないか?」

プレゼントは物を渡すことを想定していたので、私は少し驚いてしまった。

「そんなことでよろしいのですか?」

「……んー、マリス国ではあんまり街を気軽に出歩ける状況じゃなかったから」

「え……」

私が聞き返そうとすると、クラヴィスはそれ以上私が詮索しないように「一緒にお茶を出来るだけで嬉しいよ」と微笑んだ。
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