転生したら小説の悲劇のヒロイン(五歳)でした。実は魔王の娘だけど、大好きな温泉を作ってほっこりしていたら、騎士隊長さんに保護してもらえたので、全力で運命(原作)に抗います!
第4話 温泉ご飯!
「さてと。じゃあ、そろそろ上がろうかな」
「う、うん。そうだね」
「あ、もしかして、ビャクはもっと入っていたかった?」
「えっ!? そうじゃなくて、逆かな。今はボクの力で魔力を隠しているけど、それまでは簡単に探れる状態だったし、ここにいる事がバレバレ……」
「大変! 早く移動しなきゃ!」
いつもなら……日本で温泉に行った時は、ゆっくり温泉に浸かって、のんびり過ごす。
だけど今はそうも言っていられないので、お風呂を上がると、風魔法で一気に身体を乾かして、空間収納へ入れていた服に着替える。
「ビャク。このお風呂も消しておいた方が良いのかな?」
「それはボクがやっておくよー。綺麗に魔法の痕跡を消せるからさ」
「じゃあ、お願いするね」
風魔法でビャクの身体を乾かしてあげると、私が出したお湯と石が一瞬で消える。
実家に帰ったら、いろんなお湯を再現して、いつでも入れるようにしよう。
「じゃあ、魔族の国へ向かえば良いんだよね?」
「うん! 実は方角もわかってなかったから、凄く助かるよー!」
という訳で、ビャクと共に森の中を歩いていく。
ビャクだけなら、走れば凄い速度になるらしいんだけど、人を乗せて走った事がないし、危ないからと歩いて移動する事に。
私も風魔法で飛んでいけなくもないけれど、着地出来ないので、ビャクを巻き添えにするのは忍びないからね。
「ねぇねぇ、ビャク。あの木の実を取ってきても良いかなー?」
「うん。でも、緑色の実は止めた方が良いよー。固くて美味しくないから」
「そっかー。ありがとー」
という訳で、風魔法でスパスパっと木の実を切り落とし、よく分からないオレンジ色の木の実を三つ手に入れた。
街とか村へ、いつ到着するかわからないからね。
貴重な食糧を確保し、異空間収納に格納していく。
「アリスは凄いねー! 異空間収納の魔法は初めて見たよー」
「パパの……魔王の力を受け継いだだけだよー」
「いやいや、それでも、ちゃんと使えてるのは凄いと思うよー!」
そんな話と共に、食糧を確保しながら森の中を歩いていると、唐突に道が現れた。
獣道とかじゃなくて、舗装こそされていないけど、車が通れそうなくらいの道だ。
「この街を、こっちへ進むと小さな村があるんだよー。着く頃には陽が沈み始めていると思うから、今日はそこで休むと良いよ」
「そうなんだー! ビャク、ありがとー!」
ビャクによると、この森が広過ぎて、迂回すると物凄く遠回りになってしまうらしい。
それで、この先にある街が長年掛けて馬車が通れる程の道を森の中に作り、中継地点に村を作ったのだとか。
暫く道を真っ直ぐ進み、途中で丁度良い木陰があったので、お昼ご飯を食べる事にした。
ビャクに教えてもらい、森の中で採っておいた食べられる野草とキノコなどを異空間収納から取り出す。
水魔法で軽く洗い流したら、バスケットの中へ。
……屋敷の自室にあった可愛らしいデザインのバスケットだけど、まさか料理に使う事になるとは思わなかったよ。
「アリス。その草やキノコをどうするの?」
「ふっふっふ。よくぞ聞いてくれました! これは私が大好きな温泉料理の一つで、温泉から出て来る蒸気を使って蒸す料理方法なんだよー!」
「へぇー! 何だか、凄いね! 聞いた事がない料理方法だよー!」
「すっごく美味しいんだよー! しかも、この籠を入れて待つだけだからね。すっごく簡単なの! ……ただ、熱いけど」
という訳で、土魔法で穴を掘ったら、水魔法と火魔法を使い、凄く熱い温泉をイメージして、穴の底へ。
木の棒を使って、凄い勢いで立ち昇る蒸気の中へバスケットを吊るす。
あとはひたすら待つだけ……そろそろ良いかな?
バスケットを取り出すと、良い感じに火が通っていて、蒸気に含まれていた温泉の塩分で程よい味付けが……って、本当に温泉が再現出来ている気がする。
なので、熱々だけど温泉で食べた蒸し料理みたいに美味しくて……って、ビャクは猫科の虎だからかな?
熱そうにしているので、氷魔法と風魔法で冷ましてあげると……美味しそうに食べてくれた。
「アリスの言った通り、凄く美味しいよー!」
「ふふっ。ビャクに気に入ってもらえて良かった」
「あ、そうだ! 少しだけ待ってて!」
そう言って、ビャクが凄い速さで駆け出し……本当に僅かな時間で戻ってきた。
「ビャク。どうしたの?」
「アリス。これも蒸してよー!」
何だろうと思ってビャクが草の上に置いたものを見てみると……えっ!? お魚!?
「ちょっと行って捕まえてきたんだー!」
「えっと、川があるの?」
「うん! といっても、アリスの足だと半日くらい掛かっちゃうけど」
確かにさっきのビャクは凄い速さだったけど……まぁ五歳児だからね。
野草やキノコと同じように水魔法でお魚を洗い……ちょっと困る。
丸ごと蒸しても良いんだけど、鱗を取ったり、内臓を取り出したり……包丁が欲しいかも。
「あ、アリス! もしかして、魚を切る道具が欲しいの?」
「うん。何か近くに、尖った石とかがないかな?」
「それなら、ボクが作ってあげるー! あのね、具現化魔法っていう力が使えるから、アリスが想い描いた物を作り出せるよー!」
え? 何それ!? ちょっと詳しく聞かせてもらえる!?
「う、うん。そうだね」
「あ、もしかして、ビャクはもっと入っていたかった?」
「えっ!? そうじゃなくて、逆かな。今はボクの力で魔力を隠しているけど、それまでは簡単に探れる状態だったし、ここにいる事がバレバレ……」
「大変! 早く移動しなきゃ!」
いつもなら……日本で温泉に行った時は、ゆっくり温泉に浸かって、のんびり過ごす。
だけど今はそうも言っていられないので、お風呂を上がると、風魔法で一気に身体を乾かして、空間収納へ入れていた服に着替える。
「ビャク。このお風呂も消しておいた方が良いのかな?」
「それはボクがやっておくよー。綺麗に魔法の痕跡を消せるからさ」
「じゃあ、お願いするね」
風魔法でビャクの身体を乾かしてあげると、私が出したお湯と石が一瞬で消える。
実家に帰ったら、いろんなお湯を再現して、いつでも入れるようにしよう。
「じゃあ、魔族の国へ向かえば良いんだよね?」
「うん! 実は方角もわかってなかったから、凄く助かるよー!」
という訳で、ビャクと共に森の中を歩いていく。
ビャクだけなら、走れば凄い速度になるらしいんだけど、人を乗せて走った事がないし、危ないからと歩いて移動する事に。
私も風魔法で飛んでいけなくもないけれど、着地出来ないので、ビャクを巻き添えにするのは忍びないからね。
「ねぇねぇ、ビャク。あの木の実を取ってきても良いかなー?」
「うん。でも、緑色の実は止めた方が良いよー。固くて美味しくないから」
「そっかー。ありがとー」
という訳で、風魔法でスパスパっと木の実を切り落とし、よく分からないオレンジ色の木の実を三つ手に入れた。
街とか村へ、いつ到着するかわからないからね。
貴重な食糧を確保し、異空間収納に格納していく。
「アリスは凄いねー! 異空間収納の魔法は初めて見たよー」
「パパの……魔王の力を受け継いだだけだよー」
「いやいや、それでも、ちゃんと使えてるのは凄いと思うよー!」
そんな話と共に、食糧を確保しながら森の中を歩いていると、唐突に道が現れた。
獣道とかじゃなくて、舗装こそされていないけど、車が通れそうなくらいの道だ。
「この街を、こっちへ進むと小さな村があるんだよー。着く頃には陽が沈み始めていると思うから、今日はそこで休むと良いよ」
「そうなんだー! ビャク、ありがとー!」
ビャクによると、この森が広過ぎて、迂回すると物凄く遠回りになってしまうらしい。
それで、この先にある街が長年掛けて馬車が通れる程の道を森の中に作り、中継地点に村を作ったのだとか。
暫く道を真っ直ぐ進み、途中で丁度良い木陰があったので、お昼ご飯を食べる事にした。
ビャクに教えてもらい、森の中で採っておいた食べられる野草とキノコなどを異空間収納から取り出す。
水魔法で軽く洗い流したら、バスケットの中へ。
……屋敷の自室にあった可愛らしいデザインのバスケットだけど、まさか料理に使う事になるとは思わなかったよ。
「アリス。その草やキノコをどうするの?」
「ふっふっふ。よくぞ聞いてくれました! これは私が大好きな温泉料理の一つで、温泉から出て来る蒸気を使って蒸す料理方法なんだよー!」
「へぇー! 何だか、凄いね! 聞いた事がない料理方法だよー!」
「すっごく美味しいんだよー! しかも、この籠を入れて待つだけだからね。すっごく簡単なの! ……ただ、熱いけど」
という訳で、土魔法で穴を掘ったら、水魔法と火魔法を使い、凄く熱い温泉をイメージして、穴の底へ。
木の棒を使って、凄い勢いで立ち昇る蒸気の中へバスケットを吊るす。
あとはひたすら待つだけ……そろそろ良いかな?
バスケットを取り出すと、良い感じに火が通っていて、蒸気に含まれていた温泉の塩分で程よい味付けが……って、本当に温泉が再現出来ている気がする。
なので、熱々だけど温泉で食べた蒸し料理みたいに美味しくて……って、ビャクは猫科の虎だからかな?
熱そうにしているので、氷魔法と風魔法で冷ましてあげると……美味しそうに食べてくれた。
「アリスの言った通り、凄く美味しいよー!」
「ふふっ。ビャクに気に入ってもらえて良かった」
「あ、そうだ! 少しだけ待ってて!」
そう言って、ビャクが凄い速さで駆け出し……本当に僅かな時間で戻ってきた。
「ビャク。どうしたの?」
「アリス。これも蒸してよー!」
何だろうと思ってビャクが草の上に置いたものを見てみると……えっ!? お魚!?
「ちょっと行って捕まえてきたんだー!」
「えっと、川があるの?」
「うん! といっても、アリスの足だと半日くらい掛かっちゃうけど」
確かにさっきのビャクは凄い速さだったけど……まぁ五歳児だからね。
野草やキノコと同じように水魔法でお魚を洗い……ちょっと困る。
丸ごと蒸しても良いんだけど、鱗を取ったり、内臓を取り出したり……包丁が欲しいかも。
「あ、アリス! もしかして、魚を切る道具が欲しいの?」
「うん。何か近くに、尖った石とかがないかな?」
「それなら、ボクが作ってあげるー! あのね、具現化魔法っていう力が使えるから、アリスが想い描いた物を作り出せるよー!」
え? 何それ!? ちょっと詳しく聞かせてもらえる!?