アイドルに推された私  仕事の依頼主は超人気者
第三章

新しい年のはじまり

 年が明け、今日は第一月曜日の午後、キヌコさんが
コンシェルジュに新年の挨拶をする。
 「明けましておめでとうございます。今年もよろしく
お願いしますね」
 「はい、こちらこそ、 キヌコさん今年もよろしくお願いします」
  コンシェルジュもキヌコさんに挨拶をした。
 キヌコさんが悠の部屋に入って来くるとテーブルに置かれた『連絡ノート』が視界に入ってきた。
 ノートの横には襷のように繋がった正方形のメモ用紙。
 
 そこには……

 キヌコさんへ 
 クリスマスの夜は、色々言ってごめんね。
 反省してる。悠

 キヌコさんへ
 今日は大晦日、キヌコさんの作り置きのおかず
 美味しいよ。悠
 
 キヌコさんへ
 明けましておめでとう。今年も宜しくお願いします。
 やっぱりキヌコさんの料理が食べたい。悠

 キヌコさんへ
 Mエンターテイメントのこと、その後どうなった? 
 報告待ってる。 悠

 十分間程かかりキヌコさん……
いや、唯は悠からのメモをすべて読み終えると微笑んだた。
「名前と連絡先は……教えません。さてと、掃除、洗濯、お料理頑張りましょうかね……」
 と言うと、積まれた洗濯物を洗濯機の中に入れ洗濯機を
回し掃除機を掛け終わると料理をしはじめた。

 夜になり、悠が帰宅すると綺麗に掃除された室内を見渡す悠。
 テーブルの上には、お茶碗とお椀が並べて置かれ、
手前にはお箸とおかずのだし巻き卵と焼き鮭が置いてあった。

『連絡ノート』には、

 東田様
 明けましておめでとうございます。今年も宜しくお願いします。
 お料理、お洗濯、お掃除すべて終っています。
 また、木曜日にお伺いします。キヌコ

 そして、メモ用紙には……

 悠さんへ
 心配してもらってありがとうございます。先方から連絡がありました。
 思い切って見学に行ってきます。報告は、ちゃんと行いますね。
 それから、名前と連絡先は教えられません。
 仕事なので……。キヌコ

「そうですか……」と言うと悠はだし巻き卵を
一切れ口の中に入れ、
「ああ~これこれ、これよ……」と笑顔で言った。
< 19 / 35 >

この作品をシェア

pagetop