アイドルに推された私  仕事の依頼主は超人気者

楽屋にて

 無事に本日のライブ公演を終えた『RAIN』の五人。
 楽屋に戻ると、シャワーを浴びたりSNS等をチェックする。
 すると、リーダーの友が言った
「今日も、ファンの皆、喜んでくれてよかったな」
「ああ、本当だよねりやっぱりライブハウスだと、ファンとの距離が近いから、いいよね」と心が言った。

「でも、気にならなかった?」と良がメンバーの顔を見て言った。
「それな、俺も超気になってた」と翼も口を開いた。
「何だよ? 気になるって」悠が翼に聞くと、
「えっ? 悠、気にならなかったの? 最前列にいた子のこと」と翼が答える。
「最前列の子って……何?」悠が更に聞き返した。
「だってさ、最前列にいるのに俺らの推しグッズ何も持たずにいるからさ周りは全員、
ペンライトや手作りのうちわを振ってくれたり、推しのメンバーのタオルを首にかけてたのに、
その子何もなくて手拍子のみ」と翼が言った。
「そうだよな。それにその子最前列のど真ん中に立ってるから違う意味で目立こと」と心が言うと、
「だから、俺、気になって、気になって。秒でその子ずっと見ちゃったよ」良もそう口にした。
「あれは、多分だけど……俺らのファンじゃないぞ。箱推しでもないぞ」翼の言葉に、
「でも、今日俺らのライブに来てくれてたんだから感謝しなきゃ、それにファンになってくれるかもしれないし。
 素敵な出会いとお客様には感謝しないと」
 リーダーの友の言葉に良、心、翼、悠も頷いた。
 そして、着替えを済ませた『RAIN』の五人は次の仕事に向かうため移動用のワゴン車に乗り込んだ。
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