アイドルに推された私  仕事の依頼主は超人気者

交換メモ用紙

 悠が提案した、「交換日記」ではなく、「交換メモ用紙」おもしろいネーミング。
 悠と唯は、あの日の遭遇以来、顔を合わせることはなかった。
 今日も、悠の部屋で家事をこなす唯。
 テーブルの上に置かれた正方形の厚さ十センチくらい
あったメモ用紙も気づけば、五センチくらいになって
いた。
『連絡ノート』には相変わらず東田様からの要望とキヌコさんからの作業報告等が記されていた。
 そして、別に悠と唯が言葉を綴ったメモ用紙には、色々なことが書かれるようになっていた。

 キヌコさんへ
 今日、撮影でもらった差し入れの大量のイチゴ
なんとかして……。 悠

 わかりました。そのまま食べる分とイチゴタルトにしましたので切り分けて食べてください。
 あと、私の分は持ち帰らせていただきます。
 本当はいけないのですがこんなに大量だと、フードロスしますからね。キヌコ

 キヌコさんへ
 イチゴタルト超うまかったよ。スイーツも作れるんだね……っていうか、
 何でもできるんだね。凄いな~。悠

 お口にあってよかったです。何でもできるのは、仕事だから当然です。
 そんなに褒めても何もありませんよ。 キヌコ

 キヌコさんへ
 俺の下着の柄の趣味って変かな? 悠

 好みは人それぞれですから。
 ちなみに私はあなたの趣味は好きではないですね。
 キヌコ

 と……こういう感じの短いやり取りを続けていた。
 キヌコさんこと唯が悠の担当となって数ケ月が過ぎ、
季節は冬を迎えようとしていた。
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