大正ゆりいろ浪漫~拝啓 死神の旦那様~
「お姉ちゃん、私たちこれからどうなるの?」

 その日の夜、布団に入った華が不安そうに眉を下げる。

 志乃はすでに寝息を立てている藤に薄手の肌掛けをかけると、華の頭をそっと撫でた。


「これからの事はお姉ちゃんが考えるから、華は安心しておやすみ」

 志乃の落ち着いた声に、華は少しだけ不安が和らいだのか、こくんとうなずく。

「……うん……おやすみ」

 華も相当疲れていたのだろう。

 そう言うとすぐに、ことりと寝てしまった。


 志乃は二人の寝息が一定の間隔で聞こえだしたのを確認すると、部屋の隅に置いてある文机の前に座る。

 そっとランプをつけ机の引き出しを開けた。

 引き出しの中には、藤の作った折り鶴がいくつも詰め込まれている。

 志乃は、そのいびつな鶴の下に一冊のノートを見つけた。

 引っ張り出してきたのは、母が家計簿をつけている手帳だ。

 母は几帳面な性格で、毎月丁寧に帳面をつけていることは知っていた。


 ――これを見れば、だいたいの家のお金のことはわかるはず。
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