大正ゆりいろ浪漫~拝啓 死神の旦那様~
「そうだな。箏の音が聞こえた時、驚いたのは確かだが……」
花奏は一旦、言葉を探すように目線を漂わせたのち、小さくうなずくと志乃を見つめる。
「志乃の箏の音を聴いているうちに、いつの間にか音色に浸ってしまっていたのだ」
「……どういうことでしょう?」
志乃は花奏の言葉の意味がわからず、小さく首を傾げる。
「端的に申せば、お前の箏は人の心を癒すということだ」
花奏のやや明るい声に、志乃は心の底から喜びが込み上げてきた。
つい昨日まで、志乃と花奏の間には、大きな隔たりがあったはずだ。
でも、花奏は自分の抱える過去をさらけ出し、志乃はそれを受け止める勇気を持った。
そして二人は今、前に進む行動をおこした。
だからこそ、志乃はこうして花奏と穏やかに話ができているのではないだろうか。
――少しずつだけど、旦那様との距離が近づいている気がする。
「志乃?」
思わず瞳を潤ませる志乃に、花奏が小さく首を傾げた。
「なんでもございません……」
志乃は笑顔で涙を振り払うと、再び箏に向かったのだ。
花奏は一旦、言葉を探すように目線を漂わせたのち、小さくうなずくと志乃を見つめる。
「志乃の箏の音を聴いているうちに、いつの間にか音色に浸ってしまっていたのだ」
「……どういうことでしょう?」
志乃は花奏の言葉の意味がわからず、小さく首を傾げる。
「端的に申せば、お前の箏は人の心を癒すということだ」
花奏のやや明るい声に、志乃は心の底から喜びが込み上げてきた。
つい昨日まで、志乃と花奏の間には、大きな隔たりがあったはずだ。
でも、花奏は自分の抱える過去をさらけ出し、志乃はそれを受け止める勇気を持った。
そして二人は今、前に進む行動をおこした。
だからこそ、志乃はこうして花奏と穏やかに話ができているのではないだろうか。
――少しずつだけど、旦那様との距離が近づいている気がする。
「志乃?」
思わず瞳を潤ませる志乃に、花奏が小さく首を傾げた。
「なんでもございません……」
志乃は笑顔で涙を振り払うと、再び箏に向かったのだ。