大正ゆりいろ浪漫~拝啓 死神の旦那様~
「本当の妻……?」
「はい……。その、私……まだ妻らしいことを、何もさせていただいていないので……きっと、そうなのだと……」
少し恥じらうように頬を染め、下を向く志乃に、田所は「ほお」と声を上げる。
すると座敷の奥で、花奏が動く様子が目に映った。
「志乃?」
花奏の低い声が聞こえる。
「はい、旦那様」
志乃は田所に小さく目配せすると、花奏の側に駆け寄り、起き上がった花奏から、身体にかけていた羽織を受け取った。
「つい、眠ってしまっていたな」
花奏は胡坐をかきながらそう言うと、脇に座った志乃に優しくほほ笑む。
「はい。とても気持ちよさそうでした」
志乃は頬を桃色に染めながらくすりと笑うと、先ほど受け取った羽織を、慣れた様子で花奏の背に広げる。
花奏は笑みを浮かべたまま、志乃の持つ羽織に袖を通した。
すると離れをぐるりと回ってきたのか、田所が庭の横から縁側にひょっこりと顔を覗かせる。
「もうすっかり似合いの二人だね。なんと羨ましいことか」
にっこりと口を引き上げる田所に、花奏はわざとらしく大きなため息をついた。
「はい……。その、私……まだ妻らしいことを、何もさせていただいていないので……きっと、そうなのだと……」
少し恥じらうように頬を染め、下を向く志乃に、田所は「ほお」と声を上げる。
すると座敷の奥で、花奏が動く様子が目に映った。
「志乃?」
花奏の低い声が聞こえる。
「はい、旦那様」
志乃は田所に小さく目配せすると、花奏の側に駆け寄り、起き上がった花奏から、身体にかけていた羽織を受け取った。
「つい、眠ってしまっていたな」
花奏は胡坐をかきながらそう言うと、脇に座った志乃に優しくほほ笑む。
「はい。とても気持ちよさそうでした」
志乃は頬を桃色に染めながらくすりと笑うと、先ほど受け取った羽織を、慣れた様子で花奏の背に広げる。
花奏は笑みを浮かべたまま、志乃の持つ羽織に袖を通した。
すると離れをぐるりと回ってきたのか、田所が庭の横から縁側にひょっこりと顔を覗かせる。
「もうすっかり似合いの二人だね。なんと羨ましいことか」
にっこりと口を引き上げる田所に、花奏はわざとらしく大きなため息をついた。