大正ゆりいろ浪漫~拝啓 死神の旦那様~
「なんだ、田所。来ていたのか」
「なんだ、はないでしょうよ。せっかく花奏の幸せそうな顔を、見に来てやったというのに」
ぷっと頬を膨らませる田所にお構いなく、花奏はぷいと顔を背ける。
「田所、お前だって妻と子がいるではないか。家の前を通ると、よく子らの声が聞こえておるぞ」
「え? そうなのですか?」
志乃は思わず驚いて声をあげてしまう。
田所に妻子がいたとは知らなかった。
すると田所は照れたように頭をかきながら、胸のポケットから手帳に挟んだ一枚の写真を見せてくれる。
手のひらほどの大きさのモノクロの写真には、洋装で身なりを整えた田所と妻、三人の子どもたちが、やや緊張した面持ちで写っていた。
「まぁ、なんて素敵な……」
志乃は目を輝かせると、うっとりと写真を覗き込む。
いつか本当の妻になれたなら、自分も花奏とこうして写真に納まることができるのだろうか。
すると写真に見とれる志乃に、田所が「そうそう」と声を上げた。
「なんだ、はないでしょうよ。せっかく花奏の幸せそうな顔を、見に来てやったというのに」
ぷっと頬を膨らませる田所にお構いなく、花奏はぷいと顔を背ける。
「田所、お前だって妻と子がいるではないか。家の前を通ると、よく子らの声が聞こえておるぞ」
「え? そうなのですか?」
志乃は思わず驚いて声をあげてしまう。
田所に妻子がいたとは知らなかった。
すると田所は照れたように頭をかきながら、胸のポケットから手帳に挟んだ一枚の写真を見せてくれる。
手のひらほどの大きさのモノクロの写真には、洋装で身なりを整えた田所と妻、三人の子どもたちが、やや緊張した面持ちで写っていた。
「まぁ、なんて素敵な……」
志乃は目を輝かせると、うっとりと写真を覗き込む。
いつか本当の妻になれたなら、自分も花奏とこうして写真に納まることができるのだろうか。
すると写真に見とれる志乃に、田所が「そうそう」と声を上げた。