大正ゆりいろ浪漫~拝啓 死神の旦那様~
英国の友人
花奏の腕に手をかけ、ゆっくりと会場の中に入った志乃は、足を踏み入れた途端、まるで別世界のような光景に思わず息をのむ。
優雅なサロン音楽が奏でられる会場は驚くほど広く、どこまでも高い天井には眩いばかりのシャンデリアが、煌びやかに光を放っている。
そしてそれらを囲む壁には、会場を彩るように飾られた七宝焼きの額縁の数々。
見たこともないような豪華な食事が用意された会場には、それに劣らぬほど、華やかに着飾った人々で溢れかえっていた。
初めて見る社交界の光景に、志乃は思わず気後れしそうになる。
女学校の友人たちと見た、少女雑誌に載っていた、高貴な方たちの暮らしぶりが、まさに目の前にあるのだ。
一瞬めまいがしそうになった志乃は、それでも自分を奮い立たせるように背筋を伸ばす。
――ここで動揺していては駄目よ。旦那様に恥をかかせてしまうわ。
志乃は五木に言われたことを思い出し、にこやかに花奏の後ろをついて歩いた。
どうも花奏は顔が広いようで、行く先々で人々に話しかけられている。
優雅なサロン音楽が奏でられる会場は驚くほど広く、どこまでも高い天井には眩いばかりのシャンデリアが、煌びやかに光を放っている。
そしてそれらを囲む壁には、会場を彩るように飾られた七宝焼きの額縁の数々。
見たこともないような豪華な食事が用意された会場には、それに劣らぬほど、華やかに着飾った人々で溢れかえっていた。
初めて見る社交界の光景に、志乃は思わず気後れしそうになる。
女学校の友人たちと見た、少女雑誌に載っていた、高貴な方たちの暮らしぶりが、まさに目の前にあるのだ。
一瞬めまいがしそうになった志乃は、それでも自分を奮い立たせるように背筋を伸ばす。
――ここで動揺していては駄目よ。旦那様に恥をかかせてしまうわ。
志乃は五木に言われたことを思い出し、にこやかに花奏の後ろをついて歩いた。
どうも花奏は顔が広いようで、行く先々で人々に話しかけられている。