大正ゆりいろ浪漫~拝啓 死神の旦那様~
「あの、こちらに糊はありますでしょうか? 一時的ではありますが、糊で貼り付ければ直せると思うのです」
谷崎は志乃の声にぴんと背筋を正すと、辺りを見まわして、遠くを歩いていた使用人に走って声をかけに行く。
しばらく三人で椅子に腰かけて待っていると、使用人が瓶に入った糊を持って来てくれた。
志乃は糊を受け取ると、慎重に膝の上で取れた爪を爪輪に貼り合わせていく。
唯子が興味津々の面持ちで身を乗り出す中、志乃は爪の修理を無事に終え、にっこりとほほ笑んだ。
「唯子ちゃん。これで大丈夫。まだ糊の乾きが十分でないから、しばらくは貼り合わせた部分をしっかりと押さえていてね」
志乃が箏爪を渡すと、唯子はそれをそうっと受け取りながら、感動したようにぎゅっと両手で包み込む。
「お姉さま、本当にありがとう存じました」
唯子は満面の笑みを見せた後、ぴょこんと頭を下げた。
「どういたしまして」
志乃が応えると、唯子は一層嬉しそうに笑顔を見せる。
「お姉さま、今度、唯子のお家に遊びに来て! きっとよ!」
唯子は元気にそう言うと、再び廊下を駆けて行った。
谷崎は志乃の声にぴんと背筋を正すと、辺りを見まわして、遠くを歩いていた使用人に走って声をかけに行く。
しばらく三人で椅子に腰かけて待っていると、使用人が瓶に入った糊を持って来てくれた。
志乃は糊を受け取ると、慎重に膝の上で取れた爪を爪輪に貼り合わせていく。
唯子が興味津々の面持ちで身を乗り出す中、志乃は爪の修理を無事に終え、にっこりとほほ笑んだ。
「唯子ちゃん。これで大丈夫。まだ糊の乾きが十分でないから、しばらくは貼り合わせた部分をしっかりと押さえていてね」
志乃が箏爪を渡すと、唯子はそれをそうっと受け取りながら、感動したようにぎゅっと両手で包み込む。
「お姉さま、本当にありがとう存じました」
唯子は満面の笑みを見せた後、ぴょこんと頭を下げた。
「どういたしまして」
志乃が応えると、唯子は一層嬉しそうに笑顔を見せる。
「お姉さま、今度、唯子のお家に遊びに来て! きっとよ!」
唯子は元気にそう言うと、再び廊下を駆けて行った。