大正ゆりいろ浪漫~拝啓 死神の旦那様~
「今日は社交界に、顔を出しに来ただけなんです。僕は、父の仕事には関わっていませんから」
谷崎は手すりに寄りかかり、身を乗り出すようにすると、潮の香りを感じるように深呼吸をしている。
「お父さまのお仕事は、お継ぎにならないのですか?」
これだけの力を持っている父がいながら、なぜ谷崎は海軍に入ったのだろう?
志乃は不思議に思い声を出した。
「僕に商売は向いてないんですよ。僕は幼い頃からこの港町が好きでした。だからこの街を、この街に住む人々を守る軍人になることが、幼い頃からの夢だったんです」
「夢……?」
「えぇ。父はなかなか許してくれませんでしたが、反対を押し切って、海軍兵学校に入ったんです」
瞳を輝かせて声を出す谷崎に、志乃は驚いたように目を開く。
谷崎の夢を語る言葉が、とても新鮮な響きとして志乃の中に残った。
「志乃さんは、何か夢をお持ちですか?」
突然谷崎が志乃を振り返り、志乃はドキッとして下を向く。
「夢……なんでしょう……」
志乃はじっと考え込む。
谷崎は手すりに寄りかかり、身を乗り出すようにすると、潮の香りを感じるように深呼吸をしている。
「お父さまのお仕事は、お継ぎにならないのですか?」
これだけの力を持っている父がいながら、なぜ谷崎は海軍に入ったのだろう?
志乃は不思議に思い声を出した。
「僕に商売は向いてないんですよ。僕は幼い頃からこの港町が好きでした。だからこの街を、この街に住む人々を守る軍人になることが、幼い頃からの夢だったんです」
「夢……?」
「えぇ。父はなかなか許してくれませんでしたが、反対を押し切って、海軍兵学校に入ったんです」
瞳を輝かせて声を出す谷崎に、志乃は驚いたように目を開く。
谷崎の夢を語る言葉が、とても新鮮な響きとして志乃の中に残った。
「志乃さんは、何か夢をお持ちですか?」
突然谷崎が志乃を振り返り、志乃はドキッとして下を向く。
「夢……なんでしょう……」
志乃はじっと考え込む。