大正ゆりいろ浪漫~拝啓 死神の旦那様~
改めて聞かれると、自分は今まで“夢”というものを、考えたことがなかったのだと気づかされる。
「お恥ずかしいのですが、私は今まで、夢について深く考えたことがありませんでした。一つだけあるとすれば、箏の練習は、熱心に励んでいた、ということくらいです」
志乃は小さく肩をすくめた。
「あぁ、箏ですか!」
すると谷崎は、志乃に大きくうなずきながら声を上げる。
「だから唯子の箏爪を直すのも、お上手だったのですね」
納得したような谷崎に、志乃ははにかむようにうなずいた。
二人の間を静かな風が流れ、志乃はふと、先ほど谷崎が廊下で言っていたことを思い出す。
「あの、そういえば、私を探されていたと、おっしゃられておりましたが?」
志乃は小さく首を傾げながら谷崎を見上げた。
その途端、谷崎は顔を真っ赤に染め、照れたように頭に手をやる。
「あ、いや、その……」
谷崎はしばし口ごもった後、真っ赤な顔を志乃に向けた。
「白状します。僕はもう一度、あなたと話がしたかったのです。今日ここへ来たのもそのためです」
「お恥ずかしいのですが、私は今まで、夢について深く考えたことがありませんでした。一つだけあるとすれば、箏の練習は、熱心に励んでいた、ということくらいです」
志乃は小さく肩をすくめた。
「あぁ、箏ですか!」
すると谷崎は、志乃に大きくうなずきながら声を上げる。
「だから唯子の箏爪を直すのも、お上手だったのですね」
納得したような谷崎に、志乃ははにかむようにうなずいた。
二人の間を静かな風が流れ、志乃はふと、先ほど谷崎が廊下で言っていたことを思い出す。
「あの、そういえば、私を探されていたと、おっしゃられておりましたが?」
志乃は小さく首を傾げながら谷崎を見上げた。
その途端、谷崎は顔を真っ赤に染め、照れたように頭に手をやる。
「あ、いや、その……」
谷崎はしばし口ごもった後、真っ赤な顔を志乃に向けた。
「白状します。僕はもう一度、あなたと話がしたかったのです。今日ここへ来たのもそのためです」