大正ゆりいろ浪漫~拝啓 死神の旦那様~
唯子に手を引かれながら、大きなお屋敷に入る。
外国のお城かと思うほど大きなお屋敷は、入り口の扉を入った先に、二階へと続く階段があり、絨毯の敷かれたその中央では、谷崎が手を振って待っていた。
その姿がまるでおとぎ話に出てくる王子様のようで、志乃はついくすりと笑ってしまう。
「え? 何かおかしかったですか?」
「いいえ。あまりにも王子様のように見えたので、つい笑ってしまいました」
不思議そうに首を傾げる谷崎に、志乃はくすくすと笑いながら声を出す。
「お兄さまが王子様なら、お姉さまはお姫様でしょう? そうなればいいのに」
すると唯子が隣で口を尖らせた。
「こら唯子。志乃さんに失礼じゃないか」
「はーい」
たしなめる谷崎に軽く返事をすると、唯子は嬉しそうに再び志乃の手を引く。
「ねぇ、お姉さま。今日は何の日かご存じですか?」
「今日?」
唯子に大広間に案内された志乃は、小さく首を傾げた。
年末も差し迫ったこの辺りに、何か特別な日があっただろうか?
すると唯子はくすりとほほ笑むと、志乃の耳元に口を寄せる。
「あのね……」
話を聞きながら目を丸くした志乃は、唯子と顔を見合わせると、にっこりとほほ笑んだ。
外国のお城かと思うほど大きなお屋敷は、入り口の扉を入った先に、二階へと続く階段があり、絨毯の敷かれたその中央では、谷崎が手を振って待っていた。
その姿がまるでおとぎ話に出てくる王子様のようで、志乃はついくすりと笑ってしまう。
「え? 何かおかしかったですか?」
「いいえ。あまりにも王子様のように見えたので、つい笑ってしまいました」
不思議そうに首を傾げる谷崎に、志乃はくすくすと笑いながら声を出す。
「お兄さまが王子様なら、お姉さまはお姫様でしょう? そうなればいいのに」
すると唯子が隣で口を尖らせた。
「こら唯子。志乃さんに失礼じゃないか」
「はーい」
たしなめる谷崎に軽く返事をすると、唯子は嬉しそうに再び志乃の手を引く。
「ねぇ、お姉さま。今日は何の日かご存じですか?」
「今日?」
唯子に大広間に案内された志乃は、小さく首を傾げた。
年末も差し迫ったこの辺りに、何か特別な日があっただろうか?
すると唯子はくすりとほほ笑むと、志乃の耳元に口を寄せる。
「あのね……」
話を聞きながら目を丸くした志乃は、唯子と顔を見合わせると、にっこりとほほ笑んだ。