大正ゆりいろ浪漫~拝啓 死神の旦那様~
――なぜ、谷崎殿から手紙が……?
瞳を揺らす花奏に、五木が一歩近づいた。
「それが運転手の話によると、志乃様に帰って良いと言われたというのです」
「志乃に?」
「雪が降りだして危ないから、もうお帰りなさいと言われたと……。志乃様は何をお考えなのでしょう? 志乃様自身が、お帰りになれなくなってしまいます……」
五木は眉をひそめると、しきりに首を振っている。
確かに妙な話だ。
志乃の帰りは夕方だったはず。
今の空の様子を考えると、これぐらいの雪であれば、車を走らせても何の問題もない。
花奏は五木を横目で見ながら、椅子に腰を下ろすと、受け取った手紙をそっと開いた。
力強い文字で書かれたその手紙に目を走らせていた花奏は、一気に最後まで読み切ると息をのむ。
「旦那様?」
五木が不安そうな顔を覗き込ませた。
「旦那様、谷崎様は何とおっしゃられて、おいでなのですか?」
五木の声に、花奏は深く息をつくと、そのまましばらく静かに目を閉じる。
そして考え込むように口を閉ざした。
瞳を揺らす花奏に、五木が一歩近づいた。
「それが運転手の話によると、志乃様に帰って良いと言われたというのです」
「志乃に?」
「雪が降りだして危ないから、もうお帰りなさいと言われたと……。志乃様は何をお考えなのでしょう? 志乃様自身が、お帰りになれなくなってしまいます……」
五木は眉をひそめると、しきりに首を振っている。
確かに妙な話だ。
志乃の帰りは夕方だったはず。
今の空の様子を考えると、これぐらいの雪であれば、車を走らせても何の問題もない。
花奏は五木を横目で見ながら、椅子に腰を下ろすと、受け取った手紙をそっと開いた。
力強い文字で書かれたその手紙に目を走らせていた花奏は、一気に最後まで読み切ると息をのむ。
「旦那様?」
五木が不安そうな顔を覗き込ませた。
「旦那様、谷崎様は何とおっしゃられて、おいでなのですか?」
五木の声に、花奏は深く息をつくと、そのまましばらく静かに目を閉じる。
そして考え込むように口を閉ざした。