大正ゆりいろ浪漫~拝啓 死神の旦那様~
「志乃様!」
大きな声で志乃を呼んだ五木は、志乃と花奏の手を取ると、声を上げておいおいと泣き出したのだ。
「五木さん、どうされたのですか?」
志乃は訳がわからず戸惑ったままだったが、花奏はほほ笑みながら、五木の背を何度も優しく撫でていた。
「五木も年を取って、些細なことにも、涙もろくなったのであろう」
部屋に入ってから、花奏はそう笑っていたが、そう話す花奏の瞳も潤んでいるように見えたのは、見間違いではなかったと思う。
もしかしたら、花奏が着のみ着のままの姿で、志乃を迎えに来たことと、何か関係があるのかも知れないとも思ったが、志乃はそれ以上は何も聞かなかった。
それよりも、こうやって自分の帰りを待ってくれている家族がいることが、何よりも嬉しかったのだ。
「旦那様、少し遅いですが、ケーキをお召し上がりになりませんか?」
唯子から受け取った箱を掲げた志乃の明るい声に、花奏は嬉しそうにほほ笑んだ。
そして三人で食べたクリスマスプディングは、とても甘くて優しい、家族の味がした。
大きな声で志乃を呼んだ五木は、志乃と花奏の手を取ると、声を上げておいおいと泣き出したのだ。
「五木さん、どうされたのですか?」
志乃は訳がわからず戸惑ったままだったが、花奏はほほ笑みながら、五木の背を何度も優しく撫でていた。
「五木も年を取って、些細なことにも、涙もろくなったのであろう」
部屋に入ってから、花奏はそう笑っていたが、そう話す花奏の瞳も潤んでいるように見えたのは、見間違いではなかったと思う。
もしかしたら、花奏が着のみ着のままの姿で、志乃を迎えに来たことと、何か関係があるのかも知れないとも思ったが、志乃はそれ以上は何も聞かなかった。
それよりも、こうやって自分の帰りを待ってくれている家族がいることが、何よりも嬉しかったのだ。
「旦那様、少し遅いですが、ケーキをお召し上がりになりませんか?」
唯子から受け取った箱を掲げた志乃の明るい声に、花奏は嬉しそうにほほ笑んだ。
そして三人で食べたクリスマスプディングは、とても甘くて優しい、家族の味がした。