大正ゆりいろ浪漫~拝啓 死神の旦那様~
「だて巻きは、女学校でも教わっていたので、作らせていただいたのです。旦那様のお口に合えば嬉しいのですが……」
すると上目遣いで見上げる志乃に、花奏がそっと口元を寄せた。
「では早速、味見してみたいものだな」
「え? お味見ですか?」
見ると花奏は、そっと自分の唇を指さしている。
「だ、旦那様ったら……」
志乃は途端に顔を真っ赤にすると、だて巻きを箸で重箱から取り出し、小皿に置いて小さく分けた。
「ど、どうぞ……」
志乃は五木の目を盗むように、そっと花奏の口元に箸を差し出す。
――あぁもう、恥ずかしすぎてたまらないわ……。
耐え切れず目を閉じた志乃の手に、花奏がぱくりと箸を咥えた感触が伝わった。
「きゃっ」
思わず叫び声を上げて目を開けた志乃の前に、花奏の美しい顔が飛び込んでくる。
「とても良い味だ」
花奏は志乃を見つめると、優しく口元を引き上げた。
――あぁ、私はなんて幸せなの……。
めまいで倒れそうになる志乃の後ろでは、五木のフォッフォッとという笑い声が、いつまでも響いていた。
すると上目遣いで見上げる志乃に、花奏がそっと口元を寄せた。
「では早速、味見してみたいものだな」
「え? お味見ですか?」
見ると花奏は、そっと自分の唇を指さしている。
「だ、旦那様ったら……」
志乃は途端に顔を真っ赤にすると、だて巻きを箸で重箱から取り出し、小皿に置いて小さく分けた。
「ど、どうぞ……」
志乃は五木の目を盗むように、そっと花奏の口元に箸を差し出す。
――あぁもう、恥ずかしすぎてたまらないわ……。
耐え切れず目を閉じた志乃の手に、花奏がぱくりと箸を咥えた感触が伝わった。
「きゃっ」
思わず叫び声を上げて目を開けた志乃の前に、花奏の美しい顔が飛び込んでくる。
「とても良い味だ」
花奏は志乃を見つめると、優しく口元を引き上げた。
――あぁ、私はなんて幸せなの……。
めまいで倒れそうになる志乃の後ろでは、五木のフォッフォッとという笑い声が、いつまでも響いていた。