大正ゆりいろ浪漫~拝啓 死神の旦那様~
志乃が考えあぐねていると、花奏が「そういえば……」と口を開いた。
「どうも谷崎殿の話では、明日は祝賀会にて、エドワードのために邦楽器の演奏会を予定していたそうなのだ」
花奏の言葉に、志乃ははっと顔を上げる。
「エドワードはこの国の音楽に、興味を持っているからと企画したそうだ。ただ、今の状況を考えると、とても参加するとは思えんが……」
「旦那様!」
志乃は花奏の言葉を遮るように声を出すと、勢いよく花奏の腕を両手で掴んだ。
「志乃?」
「私に……祝賀会で私に、箏を演奏させてくださいませんか」
「何を言っておる。エドワードが参加する保証はないのだぞ」
花奏は驚いたように志乃を見つめながら、大きく首を横に振る。
「旦那様、お願いです。それでも、私に演奏させてくださいませ。このまま何もせずに見送るなど……私は悲しくてたまらないのでございます」
花奏はしばらく驚いたように、じっと志乃を見つめていたが、ふっと笑みを見せると静かにうなずく。
「それもそうかも知れぬ。志乃の言うとおりだ。何もせずに見送るだけなど、いつまでも心が残る……。よし、すぐ谷崎殿に伝えよう」
花奏の声にぱっと顔を上げると、志乃は大きくうなずき返した。
「どうも谷崎殿の話では、明日は祝賀会にて、エドワードのために邦楽器の演奏会を予定していたそうなのだ」
花奏の言葉に、志乃ははっと顔を上げる。
「エドワードはこの国の音楽に、興味を持っているからと企画したそうだ。ただ、今の状況を考えると、とても参加するとは思えんが……」
「旦那様!」
志乃は花奏の言葉を遮るように声を出すと、勢いよく花奏の腕を両手で掴んだ。
「志乃?」
「私に……祝賀会で私に、箏を演奏させてくださいませんか」
「何を言っておる。エドワードが参加する保証はないのだぞ」
花奏は驚いたように志乃を見つめながら、大きく首を横に振る。
「旦那様、お願いです。それでも、私に演奏させてくださいませ。このまま何もせずに見送るなど……私は悲しくてたまらないのでございます」
花奏はしばらく驚いたように、じっと志乃を見つめていたが、ふっと笑みを見せると静かにうなずく。
「それもそうかも知れぬ。志乃の言うとおりだ。何もせずに見送るだけなど、いつまでも心が残る……。よし、すぐ谷崎殿に伝えよう」
花奏の声にぱっと顔を上げると、志乃は大きくうなずき返した。