大正ゆりいろ浪漫~拝啓 死神の旦那様~
 志乃の言葉に、会場内はしーんと静まり返る。

 心にあることを全て言い切った志乃は、皆の顔つきに慌てて下を向いた。

 演奏を終えたその高揚感から、自分の想いをまとまりなく、そのまま伝えてしまったことに、今更ながら後悔する。


 ――私ったら、皆さまの前で、なんと偉そうなことを、朗々(ろうろう)と述べてしまったのかしら……。


 志乃が泣きそうな顔で花奏を見つめると、花奏は何度もうなずき目尻の涙を拭った後、ゆっくりと手を叩き出した。

 するとそれにつられるように、谷崎と唯子が歓声を上げ、手を叩き出す。

 谷崎の瞳は涙で潤み、唯子は感動したように瞳をキラキラと輝かせていた。


 志乃が慌ててエドワードに目を向けると、エドワードも再び涙を流しながら、盛大な賛辞と共に志乃に拍手を送っている。

 気がつけば会場内は、志乃をたたえる拍手が割れんばかりに響き出し、それは一向に鳴りやまない。


 ――あぁ、エドワード様にも、皆さまにも伝わったのだわ……。本当に、良かった……。
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