大正ゆりいろ浪漫~拝啓 死神の旦那様~

初めて知った皆の想い

「お姉たん!」

 土産物を持った志乃と花奏が実家の前まで来ると、下の妹の(ふじ)が驚いたような声を上げ、二人を出迎える。

 藤は、突然訪ねてきた志乃に驚いたのだろう。

 しばらく呆然と立ち尽くしていたが、急に「きゃー」と叫んで満面の笑みを見せると、志乃に飛びついた。

「藤、また随分と背が伸びたんじゃない?」

 志乃は藤の成長ぶりに驚きながら、優しく頭を撫でる。

 藤は「えへへ」と照れた様子を見せていたが、はっとすると玄関を振り返った。


「お母さぁん、お姉たんが帰ってきたぁ」

 藤の大きな声が響き渡り、ドタドタという足音が室内から聞こえてくる。

 すると今度は、(はな)が玄関を飛び出してきた。

 しばらく見ない内に、華も随分と落ち着いた雰囲気になっている。

「お姉ちゃん、どうしたの!? まさか、家を追い出されたんじゃ……」

 眉間に皺を寄せた華は、そこまで言ってはっと頬を赤くする。

 志乃の後ろから、花奏が顔を覗かせていたのだ。


「はじめまして」

 にっこりとほほ笑む花奏を見上げ、途端に華も藤もぽーっと棒立ちになってしまった。

 すると母が玄関に顔を見せ、志乃は二人を促すと、久しぶりの実家に入っていった。
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