大正ゆりいろ浪漫~拝啓 死神の旦那様~
谷崎の父は満足そうな笑みを見せると言葉を続ける。
「最初、今回の話を聞いた時は驚きましたが、私も微力ながらお手伝いさせていただきますぞ。さぁさぁ、会場の中もご覧ください」
促されるように会場へと入った志乃は、途端に目を丸くする。
普段社交界で使用されている部屋は、今はその煌びやかさは抑えられ、自然光がさし込む中、何脚もの椅子が正面に向かって並べられているのだ。
そして、その目線の先には、これから楽器の演奏を披露する舞台と、横に演台も準備されていた。
感動したように顔を上げた志乃は、正面に掲げられた横断幕の文字を見てはっと息をのむ。
「旦那様……」
次第に潤みだした瞳で見上げると、花奏が志乃の肩を優しく抱いた。
「志乃の想いが、形になったな」
「……はい」
噛みしめるようにうなずいた志乃は、数か月前のことを思い出していた。
「最初、今回の話を聞いた時は驚きましたが、私も微力ながらお手伝いさせていただきますぞ。さぁさぁ、会場の中もご覧ください」
促されるように会場へと入った志乃は、途端に目を丸くする。
普段社交界で使用されている部屋は、今はその煌びやかさは抑えられ、自然光がさし込む中、何脚もの椅子が正面に向かって並べられているのだ。
そして、その目線の先には、これから楽器の演奏を披露する舞台と、横に演台も準備されていた。
感動したように顔を上げた志乃は、正面に掲げられた横断幕の文字を見てはっと息をのむ。
「旦那様……」
次第に潤みだした瞳で見上げると、花奏が志乃の肩を優しく抱いた。
「志乃の想いが、形になったな」
「……はい」
噛みしめるようにうなずいた志乃は、数か月前のことを思い出していた。