大正ゆりいろ浪漫~拝啓 死神の旦那様~
ゆらゆらと風に吹かれ、今度は庭先の池に落ちる花びらを目で追いながら、小さく息をついた志乃は、ふいに花奏に顔を覗き込まれ、はっと顔を上げる。
「何か心配事でもあるのか?」
意図せず息をついたのが、花奏に聞こえてしまったようだ。
「いえ、そんなことは……」
慌てて首を振る志乃に、花奏がぐっと顔を寄せる。
「ここ最近、時折志乃が考え込むような様子を見せているのが、気になっていたのだ。何か不安な事があるなら、言って欲しい。もしや身体のことか?」
眉を下げながら志乃の手にそっと触れる花奏に、志乃は「違うのです」と、大きく首を横に振った。
「心も身体も、旦那様に見守られて、私は本当に幸せです。不安は一切ありません」
「では、どうしたというのだ?」
首を傾げる花奏に、志乃はそっと仏間を振り返る。
「なぜだか最近、毎朝、仏壇に火を灯す度に、ふと考えてしまうのです。今日もどこかで、身寄りもなく一人で生涯を閉じる方がおられるのではないかと……」
志乃の言葉に、花奏は静かにうなずくと深く息を吐いた。
「何か心配事でもあるのか?」
意図せず息をついたのが、花奏に聞こえてしまったようだ。
「いえ、そんなことは……」
慌てて首を振る志乃に、花奏がぐっと顔を寄せる。
「ここ最近、時折志乃が考え込むような様子を見せているのが、気になっていたのだ。何か不安な事があるなら、言って欲しい。もしや身体のことか?」
眉を下げながら志乃の手にそっと触れる花奏に、志乃は「違うのです」と、大きく首を横に振った。
「心も身体も、旦那様に見守られて、私は本当に幸せです。不安は一切ありません」
「では、どうしたというのだ?」
首を傾げる花奏に、志乃はそっと仏間を振り返る。
「なぜだか最近、毎朝、仏壇に火を灯す度に、ふと考えてしまうのです。今日もどこかで、身寄りもなく一人で生涯を閉じる方がおられるのではないかと……」
志乃の言葉に、花奏は静かにうなずくと深く息を吐いた。