大正ゆりいろ浪漫~拝啓 死神の旦那様~
「斎宮司殿、少し打ち合わせをしたいのですが、今良いでしょうか?」
舞台の上で作業をしていた人が振り返り、花奏に声をかける。
花奏は軽く手を上げて応えると、志乃をゆっくりと脇の椅子に座らせた。
「身体はきつくはないか?」
「大丈夫です」
「では、少し行ってくる」
志乃は「はい」とうなずくと、会場の前方へ足早に向かう花奏の背中を見送った。
椅子に深く腰かけた志乃は、ふうと息をつくと、ぐるりと会場の中を見渡す。
花奏は演者たちと、今日の会の流れを確認しているのだろう。
ぼんやりとその様子を眺めていた志乃は、急に隣に人影を感じて顔を上げる。
見ると、初めて会った時と同じように、白い軍服に身を包んだ谷崎が笑顔で立っていた。
「まぁ、谷崎様」
「お久しぶりです。志乃さん」
谷崎は黒々と日焼けした顔で、にっこりとほほ笑んでいる。
「今日はお戻りになれたのですね」
「えぇ、最近は軍に留まることが多かったのですが、今日だけは上官に許しを得て戻りました。唯子も絶対に来いと言って、うるさかったですしね」
肩をすくめる谷崎に、志乃はくすくすと笑い声を立てる。
舞台の上で作業をしていた人が振り返り、花奏に声をかける。
花奏は軽く手を上げて応えると、志乃をゆっくりと脇の椅子に座らせた。
「身体はきつくはないか?」
「大丈夫です」
「では、少し行ってくる」
志乃は「はい」とうなずくと、会場の前方へ足早に向かう花奏の背中を見送った。
椅子に深く腰かけた志乃は、ふうと息をつくと、ぐるりと会場の中を見渡す。
花奏は演者たちと、今日の会の流れを確認しているのだろう。
ぼんやりとその様子を眺めていた志乃は、急に隣に人影を感じて顔を上げる。
見ると、初めて会った時と同じように、白い軍服に身を包んだ谷崎が笑顔で立っていた。
「まぁ、谷崎様」
「お久しぶりです。志乃さん」
谷崎は黒々と日焼けした顔で、にっこりとほほ笑んでいる。
「今日はお戻りになれたのですね」
「えぇ、最近は軍に留まることが多かったのですが、今日だけは上官に許しを得て戻りました。唯子も絶対に来いと言って、うるさかったですしね」
肩をすくめる谷崎に、志乃はくすくすと笑い声を立てる。