大正ゆりいろ浪漫~拝啓 死神の旦那様~
すると奥から、谷崎を呼ぶ声が聞こえてくる。
「では、また後で」
「はい、また……」
去っていく姿を見送りながら、志乃は谷崎に言われた言葉を自分の中で繰り返す。
――あぁ、そうなのかも知れない。私は今、旦那様とともに描いた夢を、叶えようとしているのだわ。
志乃は自分にうなずくと、再び目の前に掲げられた横断幕に目をやった。
“ゆりいろ慈善会 第一回 定期演奏会”
横断幕に書かれたその文字を、潤んだ瞳で追いながら、志乃はまた花奏との会話を思い出した。
花奏が志乃の想いを形にするために考えたこと。
それは、慈善会を立ち上げ、病の人を支援する仕組みをつくることだった。
「チャリティー……ですか?」
あの日、花奏の考えを聞いて首を傾げる志乃に、花奏は力強くうなずいた。
「外国ではそう呼んでいる。つまりは、慈善会を立ち上げるのだ」
「あの……慈善会とは?」
花奏の言わんとしていることの意味がわからず、志乃は大きく首を傾げた。
「では、また後で」
「はい、また……」
去っていく姿を見送りながら、志乃は谷崎に言われた言葉を自分の中で繰り返す。
――あぁ、そうなのかも知れない。私は今、旦那様とともに描いた夢を、叶えようとしているのだわ。
志乃は自分にうなずくと、再び目の前に掲げられた横断幕に目をやった。
“ゆりいろ慈善会 第一回 定期演奏会”
横断幕に書かれたその文字を、潤んだ瞳で追いながら、志乃はまた花奏との会話を思い出した。
花奏が志乃の想いを形にするために考えたこと。
それは、慈善会を立ち上げ、病の人を支援する仕組みをつくることだった。
「チャリティー……ですか?」
あの日、花奏の考えを聞いて首を傾げる志乃に、花奏は力強くうなずいた。
「外国ではそう呼んでいる。つまりは、慈善会を立ち上げるのだ」
「あの……慈善会とは?」
花奏の言わんとしていることの意味がわからず、志乃は大きく首を傾げた。