大正ゆりいろ浪漫~拝啓 死神の旦那様~
死神の家
「こちらがお屋敷になります」
五木に連れられて来た先は、志乃の住む街よりも東の、小高い山に囲まれた地域だった。
この辺りは家もまばらで、少し寂しい印象を受ける。
「こちらが入り口です」
すると五木が急に腰をかがめ、低い木の戸を開いた。
「え? ここ?」
志乃はギョッとするとまじまじと辺りを伺う。
竹がうっそうと茂る林は、まるでこの奥にあるものを隠すかのようだ。
五木が戸を開かなければ、ここに入り口があることすら、わからなかっただろう。
戸惑う志乃をそのままに、五木はさっさと中へと入ってしまった。
志乃はもう一度辺りをじっくりと見まわした。
表には表札も出ておらず、この奥に家があるのかも、誰が住んでいるのかも、外の人からは皆目見当がつかない。
「本当に死神が住んでいそうな所……」
ぶるっと背すじに寒気を感じ、志乃は両手で自分の身体をぎゅっと抱きしめる。
そして勇気を出し「ギギッ」と音のする戸を開いた。
五木に連れられて来た先は、志乃の住む街よりも東の、小高い山に囲まれた地域だった。
この辺りは家もまばらで、少し寂しい印象を受ける。
「こちらが入り口です」
すると五木が急に腰をかがめ、低い木の戸を開いた。
「え? ここ?」
志乃はギョッとするとまじまじと辺りを伺う。
竹がうっそうと茂る林は、まるでこの奥にあるものを隠すかのようだ。
五木が戸を開かなければ、ここに入り口があることすら、わからなかっただろう。
戸惑う志乃をそのままに、五木はさっさと中へと入ってしまった。
志乃はもう一度辺りをじっくりと見まわした。
表には表札も出ておらず、この奥に家があるのかも、誰が住んでいるのかも、外の人からは皆目見当がつかない。
「本当に死神が住んでいそうな所……」
ぶるっと背すじに寒気を感じ、志乃は両手で自分の身体をぎゅっと抱きしめる。
そして勇気を出し「ギギッ」と音のする戸を開いた。